3.時間を巻き戻します!

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 彼は「ふぅ……」と溜息を吐くと「分かった」とアストの瞳を、熱を帯びた眼で見つめる。  そして、アストの両肩をガシッと掴んだ。 「な、なんだよ!」  睨み付けるアストを気にせず「龍に戻るため」と言って彼は唇を近づけた。  熱い唇が触れたかと思うと、バチバチと音を立ててエルフ姿の男は、巨大な黒いドラゴンへと変身した。  二人が話し合っている間に(あさひ)は昇り、ドラゴンの鱗にその光がぶつかり、宝石のように彼を煌めかせる。  ドラゴンは、太陽に向かい体を動かした。次いで彼は振り返り、アストを見つめ「グルッ!」と一声上げる。  それはまるで「待ってろ」と言っているようで、  アストは腕組みをしたままドラゴンを睨み付けた。 「おう、ちゃんと持ってこいよ!」 ーーバサリ、バサリ!  ドラゴンは大きな翼を両方開くと、崖から海へ落ちるよう飛び立ち、海原を飛んでゆく。 「……ふぅー、行った行った……」  アストは眩しい旭を遮るように額に手をかざし、ドラゴンが飛ぶ様子を見つめている。 (とりあえず消えた!)と安心しているたがーー  次の瞬間、アストは「いっ!!?」と驚愕の声を発した。  その理由は飛んでいたドラゴンの身体が傾き、豪快に飛沫(しぶき)をあげ、大海に落下したからであった。
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