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「クッソ、あのドラゴン野郎ー!!」
アストは断崖沿いを走り、海との距離が近いところまで来ると、そこから海へと飛び降りた。その光景を見ていた小さな精霊たちは皆パタパタと飛んでアストを追った。
「「アスト様ー!!」」
「おい、お前ら木の蔓を持ってこい!」
皆顔を見合わせて「?」と言う表情をする。
「早く!!」
「「は、はいー!!」」
小さな精霊たちはアストの緊迫した様子に、蜂の群れのように慌てて島へ戻っていく。アストはそれを確認すると、「あぁー海は苦手だ!」と文句を言いながら腕を回して泳いだ。
すると彼の進む先に何かが浮かんできた。
「うわっ!」
「あら〜アスト様、お久しぶりです〜」
アストの前に現れたのは金色の長い髪の見目麗しい “人魚” であった。
「貴方様と海で、お会いできるなんてっ!」
人魚は首を少し傾けてニッコリ微笑んだ。
「フィン、悠長に話してる暇はない! あのドラゴンを助けてやってくれ!」
「まぁ! 大きな音がしたから来てみたら、あれが原因だったのですね! 分かりました、アスト様、耳を塞ぎ下さい。」
彼はすぐに耳を塞いだ。それは彼女が何を行うから分かるからだ。
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