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「とりあえずコイツを建物に入れるか……」
アストは島にある城を目をやった。
エルフ姿のドラゴンの周りには30ほどの精霊達が集まり、彼を興味津々で見つめている。
アストは人差し指を男に向け、そのまま上に向けた。すると、男の体が地上から浮かび上がった。
「ちっ、重い! お前らも手伝え!」
彼の周りにいた精霊たちはアストの指示を聞くと、「「はーい!!」」と返事を返し、人差し指を横たわる男に向けた。すると、先よりも高く体が浮かぶ。
「よし、いくぞ!」
「「はーい!」」
アストは歩きながら、考えを巡らせる。まずは看病であるわけで、ドラゴンに栄養を付けさせる必要があるが、一体何を食べさせるべきなのか。
(……肉? やっぱり肉か?)
この島に動物がいないわけではないが、突然来たドラゴンに食物連鎖の仕組みを変化させるわけにはいかない。
(ーーそういえば!)
ーーーーーーーーーーーーーーー
アストご一行は、島の中央に聳え立つ 石を重ね作られたお城に入った。
城は木々の蔓で覆われており、城壁の石は崩れた部分もあり、あまり状態の良い物ではない。
彼らがここに入るのはこれが初めてではなく、嵐の時や日照りの続く時に使っている。
またこの城には彼らの興味の引く物があった。
それは『本』である。この城の北の部屋には本が沢山あり、この狭い島では分からない世界のことを教えてくれる大切なものであった。
アストは、暖炉がある広い部屋へと向かった。そしてエルフ姿のドラゴンをゆっくりと床に下すと指示を飛ばす。
「シオン! 暖炉に火を頼む。」
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