4.あの〜あなたはどちら様ですか?

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 シオンはドラゴンが島へ来た時に逃げ遅れていた 髪をお団子に結っている精霊である。 「ハイ!」  彼女は元気よく返事をすると、暖炉にむかって飛んで行き、そこに置かれてある木に手をかざす。するとボワっと彼女の手のひらから紅色の花びらが生まれ、その花びらがユラユラと落ちて木に移ると、暗い部屋を明るくした。 (シオンの炎はいつ見ても綺麗だな……)  アストはその光景を見ながら感心した。  それでは、少し解説しよう!  精霊たちはそれぞれ違う性質の魔法を扱うことが出来る。力は大きく分けて3つ。  ①風を操る者  ②水を操る者  ③炎を操る者  1つの性質しか持っていない者もいれば、3つとも扱える者もいる。偉そうにしているアストであるが、実は風しか扱うことはできない。それも結構弱い風である。   「サンキュ!」  アストはシオンにそう言いながらドラゴンの額に触れた。 (熱いな。熱があるなら『体調悪いから、少し休ませて』って言えば良かったのによ〜海に落ちてビッショビショになりやがって。)と心の中でブツブツ呟く。 「カイカ、アイソウ! お前らは水を扱えたな。 こいつの体や髪を、濡れた布で拭いてやってくれ。」  カイカは 緑の髪の精霊で、いつも眠たそうにしている。アイソウは栗色の髪でいつも笑った表情の精霊だ。 「「はぁい」」と2人はのんびりと返事をすると水を入れる桶を探しに飛んで行った。  「よし、そしたら残りの奴らは俺に着いてこい。あっ、シオンとオウレンはここに残って、こいつの様子を見ててくれ!」 「えぇーぼくも行きたい、行きたいー!!」  オウレンは聖霊の中で1番小さく年齢も若い。眉が太く、目はクリクリしており唇の厚い面様である。オウレンもみんなに着いていこうとしたが、シオンから手をしっかり握られ、しぶしぶ部屋に残るのであった。
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