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エルフ姿のドラゴンが眠る(ドラゴンの王の中の王はベットでは無く、暖炉前の硬い床で眠っている。)部屋は、いろんな本が散乱していた。
本の内容はドラゴンにまつわるものばかりで、『ドラゴンの生態』『ドラゴンとの過ごし方』『ドラゴンの恋心』……などなど様々である。
アストは仕事を割り当てなかった精霊たちとともに本のある北の部屋に向かい、ドラゴンにまつわる本をみなに探させた。そしてその結果が、今のこの部屋の状態である。
そんな乱雑な部屋で現在繰り広げられているのは……
「チュー……うーん、変わらないな〜」
「次は、わたしがやってみる! あれーやっぱり変わらない〜」
カイカとアイソウから体を 綺麗に拭かれたドラゴンの身体には沢山の毛布がかけられたいた。
そして彼の周りには、小さな精霊達が集まっており、「キャッ! キャッ!」と嬉しそうな声を上げている。
彼らは横たわる男の長くウェーブのかかった髪をカーテンに見立てて、「こんにちはー」とそこから出てきて遊んでいたが、飽きて次はドラゴンに変身させようと、交代交代で男に口付けを送っている。
「よーし、ぼくも〜……ちぇー変わらない!ちっとも、面白くなーい!!」
と、このように1番小さなオウレンが、ドラゴンの口で遊んでいると、急に彼の口が開いて、彼の口元にいた精霊は口の中へと落っこちていった。
「ひやぁぁー、助けて、食べられる!!」
と、泣きべそをかいていると、オウレンは口を開けた張本人の手によって摘み上げられ、その手はオウレンを摘んだまま彼の目元に持っていかれた。
彼は金色の瞳でオウレンを見つめ、
「遊ぶな」
と、一言そう言うと、オウレンを床に置いて目を閉じた。
床に置かれたオウレンは
「もぅー!ベトベトするー!アスト様に言ってくる〜すーぐに、この島を追い出して貰うぅ〜!!」
とご立腹の様子で、部屋をパタパタと飛んで出ていった。
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