4.あの〜あなたはどちら様ですか?

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ーーキィィ……    錆び付いた蝶番(ちょうつがい)の音がして部屋の扉が開くと、彼の周りにいた精霊達は、一気に扉を開けたアストの元へと向かった。  みんな彼の頭や肩に乗ったり、服にしがみついたりして楽しそうである。  アストは精霊を身体にくっつけたまま、横たわる男の傍に胡座をかいて座った。 「よう、さっきは オウレンを虐めてくれたそうだな。」  アストの言葉に、彼は瞳を閉じたまま「私の方が虐められている。」と言葉を返した。 「そういや、お前の名はなんて言うんだ? “旭暉の龍”とか言うのは肩書きだろ?」 彼は瞳を開くと、首を回してアストの見つめた。 「 ケツァール コアトル 」 「ケツァ……? なんか舌を噛みそうな名だ。」  アストは口を大きく開けたり閉じたりして口の運動をしている。 「……母からは “ククル” と呼ばれていた。」  それを聞くと、アストは「ぷっ!」と吹き出した。 「ククルって、外見に見合わねぇ可愛い名だな。 じゃあ、ククルって呼ばせてもらうぞ。」 「あぁ、好きに してくれ……」 旭暉の龍こと、“ククル”は「はぁ、」と溜息を吐くと顔を天井に向けた。
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