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「水飲めるか?」
アストの問いかけに、ククルは「飲む」と言うと体を起こした。
アストからコップに入った水を受け取ると少しだけ口に含んだ。
「あんた、すっごい偉いドラゴンなんだってな。ヨルムって言うドラゴンがこの近海に住んでんだけどよ、あんたのことについて教えて貰ったよ。」
ククルはアストの言葉を聞きながら、天井を見上げて思案の表情を見せると、
「ヨルム……ヨルムンガントの息子か?」と質問を返した。
「ヤツの親父の名前までは知らねぇな。ヨルムは図体は長くて藍色の蛇みたいなやつだ。」
「……そうか、藍色の蛇のようならば、息子だろうな。」
そうボソボソと呟くとククルはまた横になった。しかし、彼は眉間に皺を寄せる。
「ベッドは無いのか? さすがに背中や腰が痛いんだが……」
「ん? ベッド? 隣の部屋にあったな……」
「あるなら、そっちに移動させてくれ」
「いや、ダメだ!」
アストの返事は早かった。
「お前がいつドラゴンに変わるかわかんねぇし。ここなら変わっても部屋が広いから城を壊される心配もないからな!」
それを聞いてククルは再び溜息を吐いた。
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