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「…ぅぅ……」
カッサは目蓋に当たる光によって目を覚ました。
首を動かしてあたりを確認する。フカフカの白いベッドに温かい布がかけてある。そして自分にも白い羽織りものが着せてあり、体はベトベトとしておらず綺麗であったことに驚いた。
(ぼく、死んだのかな? ここ天国?)
カッサは体を起こし、頬を摘んだ。
「い、痛い……、死んでないみたいだ。 それにしても立派な部屋だな……」
カッサはベッドから出ると広い部屋をぐるりと回った。使われていない暖炉の上には剣が飾ってあり、その横には写真のような絵画が飾られてあったり、ベッドの横にあった水が入っているガラスの容器は女神が細工してあった。
カッサはコップに水を入れると、ゴクゴクと喉を鳴らして水を飲んだ。
「美味しい!」
カッサは水の美味しさに驚いた。喉が乾いていると言う体の状態があったことを加味しても村の水より格別に美味しかった。
彼は瓶に入っている水を3杯飲むと満足してコップを置き、空いている窓へと近づいた。窓の外に広がるのは木々の緑だらけで、それ以外に何も見つけられなかった。
(ここは、あの森の奥に見えたお城の中?)
カッサは窓の枠に両手を置くとヒョイっとジャンプをして外へ出た。その時身体が少しかるい気がした。
彼は建物を見ながら後ろ歩きをする。自分がいるこの場所がぐるぐると森を彷徨い、辿り着かなかったお城なのか確認をする。
「あぁ、やっぱり!」
遠くから見てカッサは確信した。やはり自分がいるのはあのお城だったのだと。
(それならばこのお城の主人が自分をお世話してくれたのだろうか?何かお礼をしなければ)と考えを巡らせる。
しかし今何も持っていない自分にお礼できることなどあるだろうかと言うことがすぐに浮かんだ。
年は10歳にも満たない、両親も奴隷船に一緒に乗っておりあの嵐でどうなっているかも分からない。
「……っつ、」
現実の刃が彼の心を刺し、彼の目頭を熱くさせる。
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