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カッサはその場にしゃがみ込み前腕で目を押さえた。
「ヒックヒック……」としゃくり上げる自分の声を聞いてまたひどく落ち込んだ。
すると、自分の泣き声に混じるように誰かが話す声がカッサの耳に届いた。
「あっ、泣きべそがいる!」
「ほんとだ!ベソかいてるー!」
カッサはその声に驚いて顔を上げると、以前見たあの2人の小人が目の前にいてカッサを指差して笑っている。1人は赤毛にくりくり巻毛で、もう1人は金色の髪が肩まで伸びる小人だった。
彼らの頭につけた若葉に水滴が付いている。
「こいつの涙舐めてみよー!」
と、赤毛の小人が言うと、金髪の小人が返事をする。
「うんー!」
「うっへー!しょっぱい!!」
「おわぁーしょっぱいー!!
彼らは葉に落ちた涙を舐めては大興奮で喜んでいる。
そんな彼らの行動を口をポカンと上げてカッサは見つめた。
「……あ、 あっ、あの君たちは 何者なの?」
カッサの問いかけに金髪の小人が答えた。
「ぼくたち、木の精霊です!」
「せ、せいれい……」
カッサは小人の言葉を咀嚼するようにゆっくりとその言葉を呟いた。
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