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(……この人、精霊?)
カッサは母親から昔聞いた話を思い出した。この世界には人間の他にも、トロールや、ドワーフ、ホビット、エルフ……色んな種族がいて、それぞれが調和して成り立っていると言うこと。そして中でも最も美しく高明の漂うエルフに会えることはとても貴重だと言っていたことを。
「なにジロジロ見てやがる。」
アストはカッサを見下しながらで言葉を放った。
「えっ! あっ、いや、あのすいません。初めてエルフを見たものですから……」
「……ふーん、」
カッサは返答しながら、(ちょっと思い描いていたエルフと違うな……)と心に汗をかいていた。
「あの、看病してくださったのは貴方様ですか? 何から何までありがとうございました。」
「いや、看病したのは……」
アストが手のひらを見ると、先までいた小さな者たちは消えていて、
「ん?」
アストが頸をかしげると彼らの声はアストの頭上から飛んできた。
「アスト様ー!! アイツ〜ぼくらのプリティな羽を触ろうとしたんですよ〜」と赤毛の子、
「そうなんです! このキラキラの羽を〜」と金髪の子が言った。
そして2人は「キィーキィー」声を上げてアストの髪を引っ張った。
「お前ら頭上でうるせぇし、痛てぇよ。羽の一つや二つ触らせても減らねぇだろうが。」
そう言って頭の小人を2人とも両手でガシッと捕まえると、
「……お前を看病したのはコイツらだよ。」
カッサの前に差し出した。
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