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 地元は観光地としてはそこそこだったので、何となく浜辺に行くと丁度いいハイキングルートがあったのでしらたきと一緒に歩いてみている。朝の潮風が心地よいが生憎の曇り。 「ご主人様と久しぶりのお外ー!」 「嬉しそうだねしらたき」  呼びかけると嬉しそうに振り返る。 「だって最近お家とスマホの中ばっかりだったから、都会だと私が自由な場所はお家しかないもんねー」  ぺいっと舌を出して正面を向いててしてしと歩いていく。このハイキングコースは橋を渡って離れ小島に寄って返ってくるだけなのに、しらたきがいると飽きない。  浜辺に出て軽く海辺に寄ってみる、しらたきが足で波をぱちゃぱちゃと踏んで遊んでいる。 「波なんて初めて見たろ」 「初めてじゃないよー! いっぱい遊んだことあるもん」 「ほんとー?」 「う、ご主人様いじわるー。うそだよ、多分」  朝から観光しているのは緊張で早起きしてしまい折角なら観光しようと浜辺に出てみた。曇り空は晴れる気配のない、でも雨が降りそうな匂いはしない。  街中を歩いているとうどん屋があったので朝食にする、出てきたうどんはすごいコシにうまいだし汁、天ぷらを箸で押しこんで汁を吸わせ口元へ……旨い。だし汁を飲み干すころには時計の針は9時を回っていた、そろそろかな。  もう少しだけ電車に乗って移動する、しらたきは移り変わる風景を子供のように窓に手をついて眺めている。誰も見てないしいいかな。  駅を降りて数分歩いたらもう元カノの家に到着。 「はい、どちら様でしょうか?」 「突然すみません、ハルカの友人のユウキです」  スマホに彼女と仲が良かったころの写真を表示させ、インターホン越しに見せる。 「あら、ユウキくん大きくなったわねぇ……中に入るかい?」 「はい、失礼します」  少しすると彼女のお母さんが扉を開けてくれて、家の中に上がらせてもらった。
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