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とある山の中で道に迷った時は決して後ろを振り返ってはいけないという。何者かの気配を感じて振り返ったら最後、亡者にとらわれて二度と山から出られないという。黄泉比良坂につながると言われるその山は一体どこの山のことだったか・・・。
かさり、と草木を踏みしめる音がした。
人が来たのかとほっとする反面、亡者の話が頭をよぎる。
振り向きたいが。
……恐ろしい。
仕方がないからこれまで通り歩き続ける。ぼんやりと見える道の先は永遠に続いているのではないかと思えてくる。かさり、かさりと、足音は私を追うように同じ歩幅でついてくる。足を速めようが緩めようが必ず同じ歩幅でついてくる。
今はただただ恐ろしい。
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