柏木陽斗の場合 その1

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柏木陽斗の場合 その1

 寝ぼけ眼で寝返りを打つと、隣にはすやすやと眠る外国人がひとり。一気に目覚めた家の主は柏木陽斗。今や売れっ子の、弟にしたいナンバーワンのアイドルだ。 「え~と?」  なんでコイツが此処に居る? さて考えた。  恋しい細川製薬会社社長の、細川大樹の恋人高平奈緒の従兄弟。  名前は………何だっけ??? 「おはよう」 「そう、おはよう……………………………違う、なんでこっちのベッドにあんたが居るのさ!?」  セミダブルに金髪碧眼のイタリア人。 「寒かったから。因みに『あんた』ではなく、私の名前はディオ・ランバート・ヴィルテアだ」  にっこり微笑のディオ。思わずドキリとしたが、此処は負けてなるものかと、陽斗は隣室を指差した。 「そ、それより! 事務所の社長が頼むからしょうがなく置いてやるが、寝るのは客間を使えと云ったよね!?」  奥二重をパチクリさせて、ディオは肩を竦めた。 「あの部屋は殺風景過ぎる。それよりこの部屋は良いな。子供の頃を思い出す」  陽斗の部屋は子供の頃の思い出が詰まったような部屋だ。  飛行機の模型や車のラジコン。昔流行ったアイドルのポスター。  本棚には漫画がびっしり。 「どうせ子供だと馬鹿にしてんだろ?」  頬を膨らませた陽斗の目許はピンク色だ。 「まさか。私が過ごした部屋も、流石に漫画は無かったが、模型は在ったな」  懐かしそうに碧眼を細めたディオに、陽斗はトクンと胸を鳴らした。 「懐かしいのは解ったけど、だからって人のベッドに入るなよ。心臓に悪いだろ」  布団から出て来ないディオの隣で、陽斗はちょこんと正座をしている。肩から見える白い肌は、彫刻のように綺麗だ。 「そうか、断りもなく悪かった」  残念そうに云いながら、ディオはガバリと布団から出て、固まる陽斗の眼前を横切りドアを開けて振り返った。 「着替えて来るよ」  パタンと閉まるドアを凝視していた陽斗は、絶叫した。 「ギャア~」  はだか! ハダカ! 裸!
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