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「陸!」
160センチの穂には、190センチの陸に適わない。
「何やってんだ2人とも」
陸の背後から、もうひとりの幼なじみが現れた。
「海斗、おはよー」
「おはよう穂。今日も元気だね」
にっこり微笑の海斗につられて、穂も笑う。
「おはよう陸」
白い息を吐きながら、190センチの長身を見上げた。
陸は穂の手に在る手紙を見て、眉根を寄せた。
「で? 陸は何してんの」
「穂に寄越した手紙を、俺が抹消すんの。いいよな穂?」
訊かれた穂は困った様子で陸を見上げる。
「書いてくれた人に悪いよ」
「またそんな事を。穂が手紙の差出人ひとつずつに返してたら、キリがないよ? 私も陸に賛成だな。抹消すべきだよ」
「海斗…でも」
「「穂は優し過ぎ」」
「そんな事…」
「「ある」」
2人同時に云われて、穂はキョトンとした。
「それより穂、今日誕生日だろ」
海斗が穂の頭を撫でる。
「陸と相談して、放課後カラオケで誕生日パーティーやろうって話をしてたんだ。どう?」
穂は頬を染めて2人を見た。
「2人ともバイト大丈夫なの?」
「休み取ってる」
「私も休み取った」
「有り難う! 楽しみだ」
わくわくしながら教室へ向かう穂の背を見詰めながら、陸と海斗はほくそ笑んだ。
放課後、お菓子とドリンクを手にカラオケ店にやって来た3人は、フリータイムにして室内に入る。
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