2人からの求愛

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2人からの求愛

「う゛~寒い! 」   穂はマフラーで口許を隠しながら、学校の駐輪場に自転車を置くと、寒さでブルリと背を震わせた。  3月3日の今日は穂の誕生日。昔は『男なのに女の子みたい』とよくからかわれたが、やはり誕生日という響きは嫌いになれない。スイス人の祖母の血を強く受け継いだ、白い肌に大きな双眸は男というより、アイドル系の女の子。  そのせいか、16歳の穂に上級生からサラリーマンまで、ナンパされるのは日常茶飯事。   今日も昇降口の下駄箱には、ラブレターが5通。 「今時古風だよな。ま、携番知らなきゃ仕方ないか」  穂の通う白亜外国語学校は男子校で、教師も全員男だ。   周りは他校に彼女が居る人が多い中、穂に恋慕するゲイも居る。  中にはカップルになった人も居るが、穂は恋について、まだお子様なのか気にした事がなかった。 「穂、おはよー」   後からやって来た幼なじみの陸が、昇降口へやって来る。 「おはよう陸」   白い息を吐きながら、190センチの長身を見上げた。 陸は穂の手に在る手紙を見て、眉根を寄せた。 「またかよ、見せてみろ穂」  あっと思った刹那、陸に手紙を取り上げられ、穂は慌ててジャンプする。
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