アナタに夢中~ミステリーサークルの甘い吐息

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 気持ち悪い事抜かすからじゃボケ。 「兎に角今週末頼むわよ~」  美樹茜がマニキュアをふうふうと乾かせながら、女王様気質の本領発揮とばかりに、一瞥してきた。 「車ですね、はい用意します」 「俺と態度ちが~う」 「なんなら性転換して来たら?」 「…先輩の意地悪」  床にのの字を書く元宮をほっといて、僕等は今週末の日程を話し合った。  カーナビを頼りに、山梨県に在る閉業したラ〇ホテルは、夏の間に生えまくった雑草を枯らし、割れた窓ガラスや壊れたドアを前に、僕は息を飲み込んだ。 「…うわ~今度こそ出そう」  今まで、トンネルやら病院やら見て来たけど、みんなハズレだった。  写真には何も写らなかったからな…今回はどうだろう。 「先輩、俺から離れないで下さいね?」  云われて横に立つ元宮を見上げ、 「お前が絶世の美女なら、そのセリフ云いたかった…」  今回はくじ引きで、2組みに別れて探検する事になった。んだけど…。  少し離れた場所で美樹茜と山田直哉が、懐中電灯とカメラを手に、気合いを入れる雄叫びを上げる。 「僕あっちが好い…」 「なんかおっしゃいましたか?」 「はあ~…」 「?」  僕達は美樹茜達とは逆方向、裏口に回った。 「他にも入った奴がいるんだな~廃墟ってどうして落書きだらけなんだか」
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