11人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
気持ち悪い事抜かすからじゃボケ。
「兎に角今週末頼むわよ~」
美樹茜がマニキュアをふうふうと乾かせながら、女王様気質の本領発揮とばかりに、一瞥してきた。
「車ですね、はい用意します」
「俺と態度ちが~う」
「なんなら性転換して来たら?」
「…先輩の意地悪」
床にのの字を書く元宮をほっといて、僕等は今週末の日程を話し合った。
カーナビを頼りに、山梨県に在る閉業したラ〇ホテルは、夏の間に生えまくった雑草を枯らし、割れた窓ガラスや壊れたドアを前に、僕は息を飲み込んだ。
「…うわ~今度こそ出そう」
今まで、トンネルやら病院やら見て来たけど、みんなハズレだった。
写真には何も写らなかったからな…今回はどうだろう。
「先輩、俺から離れないで下さいね?」
云われて横に立つ元宮を見上げ、
「お前が絶世の美女なら、そのセリフ云いたかった…」
今回はくじ引きで、2組みに別れて探検する事になった。んだけど…。
少し離れた場所で美樹茜と山田直哉が、懐中電灯とカメラを手に、気合いを入れる雄叫びを上げる。
「僕あっちが好い…」
「なんかおっしゃいましたか?」
「はあ~…」
「?」
僕達は美樹茜達とは逆方向、裏口に回った。
「他にも入った奴がいるんだな~廃墟ってどうして落書きだらけなんだか」
最初のコメントを投稿しよう!