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「さすが男の子ですね。働き量が段違いです」
「ええ……」
巫女達が感心する。クシビの働き量は目に見えて多い。
「できました。もう一セット追加です」
「はーい!」
次々に焼き物をしていくクシビ。会長が横から顔を覗かせる。
「クシビ君、流石ね。まだまだ手慣れているわね」
昔のままだと納得するソノカ。その働きぶりは昔から変わっていない。あの頃は、本当によく手を貸してくれた。
「と言うより、雑用に慣れているだけですよ。会長の下で働いていた時の名残でもあります」クシビがフライパンを扱いながら言う。クスリと笑うソノカ。掃除や洗濯、荷物運びはいつも行っていた。
「でも君一人に全部やらせるのは悪いし、私も手伝うわ」
「いいですよ。火元が有りますから。会長は他の指示に回ってください。」
「で、でも……」
ソノカが戸惑うが、クシビが言う。
「こういう事は俺に任せておいてください。会長は会長の役目を優先してください」
「……わかったわ」
譲る気がないようなので、ソノカは仕方なく諦めるしかなかった。
そして、支度が全て終わると、巫女達が声を掛けた。
「お疲れさま~。クシビ君」
「ええ、お疲れ様です」
「すごく助かったわよ。流石は男の子ね~」給食係の巫女が、笑みを浮かべて礼を言う。
「いえ、自分はこういう事に馴れているだけですから。お役に立てたのなら、よかったです」
巫女達がクシビに話しかける。賑やかな宴会のような雰囲気が漂っていた。
「流石ね。クシビくん。昔からの働きぶりは、変わっていないようね。感心だわ」
「その英雄とやらに、こんな配給食の手伝いをさせるなんて、会長も人使いの荒さは相変わらずですね」
「その反抗的な態度。感心しないわ。君はいつからそんな反抗期になったのかしら……?」
疑るように目を向けるソノカ。あの戦いの時もそうだ。あの大人しく従順だった生徒が、強引に反抗して刃までを向けて来た。
「俺も、いつまでも後輩ではありませんからね」
「まったく……口も達者になっているわね」
クシビの生意気とも取れるその言葉に、ユヒカはそう返す。
だが、内心では察しが出来ていた。
こんな違法術士なんて仕事を続けて、アヤメちゃんと対峙した時からだろう。
それだけ、今の彼には気苦労が多かったという事のように感じる。
「………。」
クシビは息を吐いて事を終えると、ようやく休憩の許可が下りるのだった。
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