その手を貸して!

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「こんにちは?お邪魔しても?」 秘書室をノックして真白が顔を出す。 「もちろんですよ!奥様ですからね。どうぞどうぞ…。」 「え?佐野さん?片桐さん?」 真白の手を佐野が引き、片桐が背中を押して社長室の中へ誘導してドアを閉めた。 「え?何で?」 いつもはきゃあきゃあと話し相手をしてくれるので、真白は困惑の顔を見せた。 「俺が頼んだ。真っ直ぐ入れてくれと…。座って?朝は電話に出られなくて悪かった。用件はなんだった?」 真白の前まで歩き、手を引いてソファに座らせ自分も横に座った。 「あぁ…うんとね?本当は明日、話すはずで…ちゃんと確認してからって…。小暮さんもこういうのはたまに間違いもあるって言うから。」 意味不明だが、言いにくそうに下を向くので顔を覗く。 「怒らないよ?何か壊したか?レンジか?洗濯機か?あ、食洗機か?」 「………いつも壊してるみたいな言い方やめて。」 ぷくっと膨れて言うが顔は上を向いて、士郎を見てくれるので心の中はガッツポーズをする。 「えっと…遅くなったのは、これ貰って来たからで、あと…これ。先生からもらった。最初の写真。」 士郎がプレゼントしたブランドバックから二つ取り出して差し出した。 「写真?ポラ?手、帳……えっ?これ!真白?」 渡されたのは白黒のポラロイドの様な写真と母子手帳だった。 「一週間前にあれ?って思って…小暮さんに相談したら検査薬売ってるって聞いて一緒に居てもらって…陽性で………それで女の先生の病院探してくれて……明日の予約だったけど今日、空いたからって…行って来た。」 写真を手にガン見する。 「えっ?これどこ?何処にいる?」 「えっと…この辺。多分、ここが頭って言ってた。まだ小さくてよく分からないと思う。」 「え?本当に?」 真白は無言で頷く。 「真白!!ありがとう!!」 ぎゅーと抱きしめられて真白は驚くが、士郎の肩に顎を乗せて微笑む。 「うん!喜んでくれて嬉しい。あのね?もうすぐ二か月だって。暫くは安静にって言われた。どんな事をしますか?掃除とかしますか、て聞かれたから時々、木に登りますって答えたら安静にって。」 真白を引き離し、顔を見る。 「いいか?木登りは禁止だ。産まれるまで禁止!走るのも禁止!廊下を走るとかもダメ!風呂掃除もトイレ掃除もダメ!ロボット掃除機を追いかけるのもダメ!いいな?」 真顔で言われて迫力負けして、 「し、承知…しました。」 と、真白は答えた。
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