猿出没

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「はぁぁぁぁぁぁ………分かった。」 頭を抱えて力なく言う。 「それで…こちらの花村さまは如何致しましょうか?」 「花村…さま?」 「花村 銀市様の…お孫さん?で宜しいのでしょうか?」 と、佐野は後ろを振り返る。 「血は繋がってないよ?間違われるといけないからそう言えと言われてる。養子だよ。だから花村(はなむら)真白(ましろ)と名乗ってる。」 「……そうか。で?その花村が何をしに来たんだ?」 疲れた顔で士郎が聞く。 「じいちゃんに密命を受けて来た。」 「先々代からの…ですか?」 不思議な顔を佐野は向ける。 「はぁぁぁぁぁ…何だ?密命って?そもそも関係ないだろ?密命出すなら、この金庫開けろよ……。」 士郎はポツリと呟いた。 「関係あるんだ。じいちゃんの大事な物が盗まれたそうだ。それを取り返してくる様に言われた。犯人は恐らく、と言うか、ほぼ間違いなくあなただ!」 自信たっぷりと探偵さながらに指を差された。 花村 真白の指は、真っ直ぐに社長である花村 士郎に向かっていた。 「………社長が?」 佐野も士郎の顔を見た。 「は?はぁぁぁぁぁぁ?巫山戯るな!あんな汚たない小屋から盗める物がそもそもあるか?俺もだが、俺が同行させた者も、そんな事をする人間はいない!仮にも老舗、代々続いて来た由緒ある「三代目 銀十郎本舗」の社長と社員だぞ!」 「だけど、あんな山奥にそもそも泥棒は来ない。来たのはあなた達くらいだ。 そして、あなた達が帰ったら無くなったと言うんだから…疑われても仕方なくない?」 「……呆れるね?仮にも親戚だぞ?親戚を泥棒呼ばわりか?あぁ、分かった。何が無くなったんだ?身に覚えはないが探すのに協力する。だからさっさと帰ってくれ!」 「…………。」 真白は無言で停止した。 「……おい!」 「花村さま?」 「申し訳ない…。じいちゃんから何が盗まれたかは聞いてない。」 出て来た言葉に士郎と佐野は茫然と真白を見つめた。 「見つければ分かる、見つかるまで帰って来るなと言われて来た。」 「……嘘だろ?あのじいさん…何を考えてるんだ?」 「…無理難題ですねぇ?」 士郎と佐野はまたお互いの顔を見つめ合った。
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