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「ほら、着いたぞ、降りろ!」
と言うと、さっきとはうって変わり、猿は学習したかの様に車からすぐさま降りた。
「ここの20階だ。ワンフロアだから横は気にしなくて良い。」
「ワンフロアって…一階全部って事でしょ?20階ってそんなに狭いの?」
「アホを言うな!」
マンションのエントランスに入ると、警備員がいる。
頭を下げると、何故か猿は警備員に寄って行く。
「初めまして、花村 真白と申します。暫くお世話になります。よろしくお願いします。」
後ろ襟首をつかんで捕獲する。
「何?」
「何じゃない!早くしろ!すみません、驚かせて。田舎者でして…。」
ズルズルと引っ張りながら警備員に言い、エレベーターに乗り込む。
「あのな!」
「だってここ家でしょ?家の中に居たら家族でしょ?」
「ここはマンションだ!!」
「マンションて家族で住むでしょ?」
「そうだけど!あの人は違う!ていうか……俺は一人暮らしだ!」
思わず大きな声で言う。
「…………ふぅん、寂しいねぇ…。」
「…お前…なんかムカつくぞ。」
猿に憐れみの目を向けられた。
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