猿出没

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コンコン…と社長室のドアがノックされた。 「失礼します!」 「おう!佐野、どうした。」 「先々代の言われていた、歳上の方の高梨さんの居場所が分かりました。こちらになります。」 佐野はメモを花村 士郎に渡した。 「直ぐに人を…いや、佐野が行って来てくれ。大事な番号だ。必ず聞いて来て欲しい。重要任務だ。」 「分かりました。直ぐに行って参ります。後の事は第2秘書の片桐に任せて参ります。」 「分かった。気を付けろよ?あのじいさんの秘書なんぞをしてた程だ。只者ではないはずだ。」 社長もかなりの者ですよ?と言いたいが、佐野は言葉を飲み込んだ。 「行って参ります。」 とだけ言い、社長室を後にする。 「…ったく!どういう事だ!自分で注文した金庫の番号が分からない?開きもしない金庫が何で20年もでかい面して社長室に置いてあるんだ!!しかも誰も中身を知らない…仮とは言え後任を任された祖父さんも、それを継いだ親父も何で継いだ時に聞いて開けてないんだ?」 文句を言いながら社長室の隅に置いてある、大型の金庫に目を向けた。 人が一人、入れそうな程に大きな金庫だ。 誰もその中身を知らない、見たこともない。 先々代の社長が退いてから誰も触れずに来たのだった。 新しく社長に就任した花村 士郎はその金庫を社長室から排除すべく、先々代に金庫の番号を聞きに行き、一睨みでスゴスゴ帰って来た訳だった。
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