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進化した猿
仕方なく仕事が終わるまで社長室で待たせておいて、仕事終わりに家に連れ帰る。
「乗れ!早く!」
「これ…やばい車?」
「やばい車ってどんな車だ!」
「黒くてでかくてゴツい奴…。」
「………早く乗れ!!」
大きく開いたドアから中を覗いている背中を蹴り、車の中に入れた。
「…ひどっ!!」
「煩い!俺は忙しんだ!社長になってまだ日も浅い。覚える事もやる事も山積みだ。猿の相手なんかしてられるか!乗れと言えば素早く乗れ!降りろと言えばすぐ降りろ!俺の命令はお前のじいさんばりに絶対だ!」
「………。」
「何だその顔は?」
士郎は真白の顔を見る。
いかにも不満な顔をしていた。
「……じいちゃんより上の命令はない。」
ボソッと真白は答える。
「そうか…。それなら探し物を探す間はここに居るのだから、俺の言うことを聞け。じゃなければ強制的に帰すことも出来る。あ、それと、会社で自由に動けるようにしてやるから言う事は聞け!都会には都会のルールがある。先ず大事な事だ、探し物を盗まれたとは言うなよ?それが本当だとしても、親戚が盗んだと誤解を受けるし、俺が盗んだと誤解されてもうちの社員が誤解されても困る。いいな?分かったな?………分かってるよな?脳みそも猿…。」
猿なのか?と言おうとして、最後まで言えずに返事が来た。
「やっぱり…嫌いだ…。けど、分かった。強制送還は困る。言われた事は承知した。」
膨れた顔で真白は答えた。
(………おや?)
その顔が可愛いと思ったなんて事は、口が裂けても言わないし、認めないぞと心に固く誓った。
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