波岡家のサンタクロース

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家電量販店を毎日のように覗き、ママ友でもグループを作って販売情報を教え合う。そして、あちこちの抽選販売に片っ端から応募しまくったある日――私と志貴の元にそれぞれメールが届いた。 私の元に来たのは、落選メール。つまり商品をご用意出来ないって連絡。 だけど志貴のところに来たのは、当選メールだった。 「ずりぃ!」 目的は達成できたはずなのに、何だこの敗北感。 お互いのメールを見せ合って、志貴はガッツポーズまで作って浮かれてる。 「まあまあいいじゃん。これで瑞月にちゃんとプレゼント用意出来るんだから」 「そうなんだけど! なんで私が落ちてあんたが当選なんだよ」 「日頃の行い?」 勝ち誇った態度の志貴に、更にイラついてしまう。 けど、志貴の言う通り、これで子どもたちへのプレゼントは揃って、あとはクリスマスを迎えるだけだ。 12月24日の夜。子どもたちが眠ってから、それぞれの枕元にプレゼントを置いていく。自転車は大きすぎるから、キーにしたけど。 「瑞月は中学になったらいらない、って言ってるから、全員分用意するのは今年が最後なんだね」 リビングに戻ってきた私は、志貴にそう語り掛けた。
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