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「…けど、どう思います? 波岡は私を受け入れると思いますか? 嫌われていない自信はあるけど、恋愛対象かって言われると微妙だし、波岡は自分の領域に他人を入れたがらないから、私、またフラれる可能性のが高いですよね」
15年越しの告白。またダメだったら、ちょっと立ち直れるか自信ない。
「葉月ちゃんに、真正面から来られたら、拒めないんじゃないかな。少なくとも、小学校の時、葉月ちゃん振っちゃったことは、悔やんでたみたいだし」
がしっと山崎さんの腕をつかんだ。
「それって本当ですか?」
「え、それって…って? 悔やんでたこと?」
「いえ、真正面から…って。私、もともと恋愛とか苦手だし、色気とかないし、駆け引きとかも出来る気がしないし…。あと、こんな風にくよくよ悩んだりするのも好きじゃないんです。悩むより行動あるのみ」
「うん。葉月ちゃん。そんな感じだよね」
山崎さんが笑って相槌を打ってくれた時に、ちょうどラーメンが出てきて、目の前のカウンターに置かれた。
「とりあえず、食べよっか」
促されて、箸立ての割りばしを取り出して、ぽきっと二つに割る。アツアツのラーメンは、魚介系の出汁に、濃厚な味噌がとけて、太麺と絡んでおいしい。卵も半熟で、味もしっかり沁みてる。
「おいしかった」
「なかなかいい食べっぷりだったよね」
「言わないでください」
悩みすぎてお腹が空いてたのもあって、気が付けば、山崎さんより早く完食してた。そりゃ山崎さんは大盛だったけど、そのハンデを抜いても恥ずかしい。
「葉月ちゃん。志貴は絶対、葉月ちゃんのこと好きだと思う」
「それって根拠あります?」
「親友の勘?」
「なーんだ」
客観的事実に基づく根拠はないらしい。
「じゃあ、援護射撃はしておくよ。頑張って、葉月ちゃん」
山崎さんに応援してもらって、より強い決意を固める。
2月14日。何かきっかけがあった方がいいと思って、告白はその日にするって決めた。
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