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「じゃあ、水琴は?」
俺は、きいた。
「化け物に襲われた俺を水琴が助けてくれたんだ」
「ああ、水琴さん、ね」
黒瀬が事も無げに言った。
「彼は、黒川の者を守護するために生まれた方で、特に、あなたを守るために選ばれた人ですから。いざとなったら身を挺してでもあなたを守るように教え込まれてる人ですよ」
「マジで?」
俺は、俺の知ってる水琴のことを思い出していた。
俺が知っている水琴は、かわいくて、かわいくて、俺が守ってやりたくなるぐらい華奢で、女の子みたいな奴だった。
だけど、今日、俺が見た水琴は、違っていた。
禍々しい殺気を放つ、戦鬼のような水琴。
俺の知らない水琴の姿が、そこには、あった。俺は、黒瀬に質問した。
「水琴は、子供の頃から、俺の側にいた、幼馴染、だろ?」
「まぁ、そうですが」
黒瀬は、言い難そうに言った。
「もともとは、あなたを守るために側にいたんですよ。あの人は」
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