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「どうせ、また、変なことしようとしたんでしょ?」
長い黒髪を後ろで三つ編みにしている童顔の我が家の執事、黒瀬が、半笑いで俺に言った。
「本当に、ヘンタイなんだから」
「俺は、変態なんかじゃねぇ!」
俺は、ソファに腰かけて、黒瀬の入れたお茶を飲みながら言った。
「ただの官能に美を求める性の探求者、だ」
「そのわりに、奥手ですよね」
黒瀬が言った。
「奥さまが、心配してましたよ。せっかく、αに産まれたのに、このままいけば一生、童貞、だって」
「なにおぅ!」
俺は、怒りに震えて、お茶のカップをガチャンと音を立てて置いた。
「一週間以内にエロエロなΩのお兄さん相手に童貞なんか捨ててやる!」
「はい?」
黒瀬がクスクス笑った。
「あぁ、脳内彼氏、ね」
「違う!」
俺は、言った。
「本物の、実在する、相手だよ!」
「へぇ」
黒瀬が、真顔で言った。
「楽しみにしてますよ、真澄さん」
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