ありがとう、さよなら。

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『大学はどう?』 『ふつー。』 『彼女できた?』 『ノーコメント。』 『居ないなら居ないって言えし。見栄っ張り。』 帆波の黒髪に遠くの山の間から差し込む夕陽が当たって、明るい綺麗な茶色に見えた。 いつしか俺達は小さな川にかかる橋の上で 手すりに体重を預けて、夕陽が山に吸い込まれて行くのを並んで見つめた。 『ここに来るの久しぶり。 子供の時はよく歩いたけど。 車乗るようになると歩かなくなるもんねー。』 『こーいう片田舎より、都会の方がよっぽど歩くらしいぜ?そっちはこれから大変だな。』 『ほんとよー。大丈夫かなー。色々。 仕事とか人間関係とか…あー……心配しかない。』 心配なら結婚なんかやめちまえよ。 本心が、喉まできていた。
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