忍城攻め

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どうしてこのようなことにーーー お梅様は…俺の知る彼女は、 明るく快活で、前向きで優しい女性だった。 俺に生きる意味を与えてくれ、 俺に人を愛する気持ちを教えてくれた、 唯一無二の女性。 それなのに、伊咲の予言を聞いてからの彼女は 日に日に精神を病み、今では別人のような気質になってしまった。 ああ、いくら俺がお梅様を愛したところで、 いくらお梅様を抱いたところで 俺もお梅様も報われる日は来ないのだろうか。 お梅様がご自身で感じておられる役割とやらは利世殿に取って奪われ、 俺は俺で、未来を正確に予知できる伊咲を前にすれば 俺がこれまで積み上げてきた知識と経験なんて微々たる力に感じる。 この世界に、救いはないのか。 俺の生きている意味も、 お梅様が生きている意味も、もはや無いのだろうか? 俺がお梅様を慕い、娘様たちが母を必要としているにしても、 お梅様にとっては幸村様から愛され、嫡男を出産することこそがすべてなのだ。 そのすべてが、お梅様から離れていくーーー 「…甚八…私もう、耐えられない…」 「お梅様…?」 お梅はゆらりと立ち上がると、 虚な目で甚八を見下ろして言った。 「…甚八も、こんな世に生きていて苦しいでしょう…? 一緒に、私たち二人がもっと幸せになれる場所に行かない…?」
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