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真田心中
「きゃああああ!!」
雛のけたたましい悲鳴を聞きつけた真田十勇士達は、
夕食の手を止め、急いで甚八の部屋に集まって来た。
伊咲も同様に駆けつけると、
そこに居たのはーーー血の気のない顔色で横たわる、甚八とお梅の姿だった。
「じ、甚八さん!!お梅様…!」
伊咲が動揺して部屋の中へ入ろうとすると、
その横をカイがすり抜けて行った。
そして冷静にお梅の口元に手を当て、
まぶたを開かせて瞳の中を確認し始めた。
「カイ、お梅様はご無事なのか?!」
十蔵がカイの背後から問いかけると、
カイは複雑な表情を浮かべながら、静かに告げた。
「…息もしていないし、脈もない。
瞳孔も開き切っていて身体も冷たくなり始めている。
ーーーお梅様は、もう駄目だと思う…」
「そんな…!」
最初に発見した雛は、その場に崩れ落ちた。
「雛さん…っ!」
伊咲がはっとして抱き留めたが、
伊咲自身も足に力が入らず、ガクガクと震えていることに自覚がなかった。
「…じゃあ、甚八も…?」
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