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伊咲が部屋に戻ると、カイと清海が
それぞれ甚八に人工呼吸と心臓マッサージを施している最中であった。
「頼む…効いてくれよ…」
伊咲から薬を受け取ったカイは、心臓マッサージをしていた清海を下がらせ、
すがるような思いで甚八の口に薬を注いだ。
それからも暫く蘇生術を繰り返していると、
甚八はぴくりと喉を震わせ、小さく呼吸を始めた。
「甚八!!」
「良かった、甚八ぃ…!」
「甚八が息を吹き返した…!」
その場にいた清海、鎌之助、十蔵はほっとしたように笑みを浮かべた。
カイも試作の解毒剤が効いて一安心したのか、壁にぐったりともたれこむ。
しかし、雛と伊咲は目に涙を浮かべたまま動けずにいた。
ーーーお梅さん…
いつかあなたに謝りたいと思っていたのに、
とうとうお会いすることができなかった。
初めての対面がこんな形になるなんて思ってなかった。
…状況から見ても、二人で毒を飲んだことは明らか。
どうして甚八さんが一緒にいたのかは分からないけれど…
お梅さんが服毒した原因はもしかしたらーーー
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