308人が本棚に入れています
本棚に追加
その後、甚八の容態が安定するまで十勇士が交代で看病することとなり、
そしてお梅の死を知らせるべく、使いの者が大坂にいる幸村の元へと早馬を走らせて行った。
「…どうしてこんなことに…」
伊咲を除いた十勇士は、皆一様に不思議がった。
甚八が、忍城攻めで失敗した責任を感じて自殺を図った可能性は皆が暗に考えていたが、
そうだとして何故お梅と共に心中しようとしたのかが分からなかった。
とはいえ、男女が二人で服毒したこと、
何より最初に皆が発見した当時の姿が
二人抱き合ったまま倒れていた様子から察するに、
甚八とお梅が特別な関係にあったのではないかという推測が浮かび上がってきた。
お梅の訃報を聞いて飛び込んできた六花は、
あの予言のせいだと泣き散らしていたが、
他の十勇士にとってはお梅の死と予言とは結びつきがたく、
六花がお梅から妹のように可愛がってもらっていたゆえに取り乱しているのだと
ただ哀れに思うのみであった。
ーーー十勇士の中で伊咲だけが、
お梅の自殺の理由について気づき、深い自責の念に囚われた。
「…交代しても、いいかな」
最初のコメントを投稿しよう!