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それから数時間おきに交代で甚八の部屋を訪れ
彼が目を覚ますまで看ていた十勇士だったが、
カイがその役目を終えた後、今度は伊咲に順番が回ってきた。
「ごめんね。
伊咲にまでこんな役目を任せてしまって」
「そんなことないよ。
私も十勇士の仲間だもの。
カイだってそろそろ休みたいでしょう?」
伊咲はあれから一睡もせず、自分の行動を呪い続けていたが
カイの顔を見た今だけは、少しだけ気持ちが穏やかになれた。
「お梅様…本当にどうして…。
甚八は先日の忍城攻めの件もあってか
部屋に篭っているのは知っていたけれど…」
カイは伊咲とは反対に、お梅の自殺の理由は検討がつかない様子だった。
「…甚八さんのこと、もっと心配してあげればよかった…」
お梅の自殺原因に自分が関わっているかもしれないことを切り出せなかった伊咲は、
代わりに甚八の自殺未遂について触れた。
「私、甚八さんとお梅様がその…、
男女の関係だったことも知らなかったし…」
「それは伊咲じゃなくても、ほとんどの人は知らなかったんじゃないかな」
「ーーー待って、カイは知っていたってこと?」
伊咲がカイの言い方に引っ掛かりを覚えて
尋ねると、カイはこくりと頷いた。
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