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「…しかし、今回甚八が犯した罪は重いだろうな」
甚八が食事をすべて摂り終えたのを見た十勇士は、
ゆっくりするよう告げて部屋を後にした。
その帰りに、連れ立って歩いていた中で
小助がふとそのようなことを口にした。
「町中じゃ心中に失敗し生き残った者は罪に問われ、処刑されると聞くが
まして甚八が共に死のうとした相手はお梅様だ。
甚八の方からお梅様を誘ったとなれば
その責任を負って刑に処される可能性だってあるだろうな」
「…でも、幸村様はそれを望むかな?」
鎌之助は純粋な疑問として小助にぶつけた。
「幸村様がどう思おうと、今回のことを聞いた真田家当主の昌幸様が黙っちゃいないだろう。
これで甚八がお咎め無しとあっては
俺たち真田十勇士の示しもつかない」
「なんで俺たちが関係してくるのさ?」
「…幸村様の監督不行届だと言っているようなものだからな」
十蔵は冷静に、小助の言葉を代弁して述べた。
「幸村様の知らぬうちに甚八とお梅様が
心中するような深い仲になっていて、
お梅様を連れて死のうとした男を何も罰しなかったとなると
部下に甘い、きちんと処罰すべきことを処罰できないといった印象を持たれる。
それは幸村様に仕える俺たちの面目にも関わってくるし、
幸村様の評価だって当然下がるわけだ」
十蔵が言うと、小助もその通りだと首を縦に振った。
「でも、ちょっとかわいそうじゃない?」
六花だけは、感情面から甚八に寄り添う姿勢を見せた。
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