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「…!」
ーーー真田一族は…
戦国時代が終わってからも、現代まで子孫が繁栄し続ける。
だから、この質問には偽ることなく「はい」と答えられるけれども…。
真田幸村は、大坂夏の陣で討死するーーー
これもまた、史実で知る限りの真実。
そう、真田幸村はいずれ戦に散る運命を背負った人物…
伊咲は深呼吸をした後、言葉を選んで答えた。
「はい、真田家はこれから先も血を繋いで続いていきます」
「!そうか…。それを聞けて良かった」
幸村もまた、ほっと胸を撫で下ろしたように見えた。
「して、俺の死に場所ーーー」
「!」
「…は、聞かないでおこう。
それを聞いてしまえば、死を恐れ、
戦において二の足を踏んでしまうかもしれないからね」
「…幸村様は、これから先も沢山活躍されるお人です。
それは、間違いなくーーー
そしてこれから先の時代にも、ずっと名前を残します…!」
伊咲が、震える声で、しかしはっきりとそう言い切ると、
隣にいた甚八の目が彼女の横顔に向いた。
「…どうして…」
「え?」
伊咲が声のした方に顔を向けると、甚八とばっちり目が合った。
「どうしてあなたは、そこまで言い切る?」
「そっ…れは…。
それが、曲げようのない事実だから…です」
「…そうですか」
甚八はそう言ったっきり、再び口元をひき結んでしまった。
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