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「とにかく。彼女の言うことは信用しよう。
皆もそれでいいね?」
幸村が穏やかな笑みを浮かべ問いかけると、七勇士たちはそれぞれ異なる反応を見せた。
「いいと思いまーす!」
鎌之助は嬉しそうに即答した。
「私もです。
そうと決まれば、汚れてしまった衣服を替えてあげませぬか。
召し物も、六花のものを貸してやってはどうだろうか」
続いて清海がそう言ったが、それに対して六花は嫌そうな表情を浮かべた。
「えっ…。私の衣を?
でも彼女、歳も体型も私と違うし…
色や柄の好みも違うんじゃないかなあ」
そう言う彼女はすらっとした細身の、10代後半程度に見える華やかな美少女だったため、
ーーー考え過ぎかもしれないがーーー
自身はそれとは反対だと暗に言われた気がし、伊咲は複雑な思いがした。
「六花、快く貸してあげなよ。
着物なんて帯でいくらでも幅を調整できるし、
好みが違ったらどうだと言うの?」
するとその時、優しい声色の男ーーーカイが六花を嗜めた。
「伊咲さん…でしたか」
「!はい」
「ずっと牢の中に閉じ込められていたあなたを心配していました。
他の皆も同じ気持ちなので、どうか安心してください」
「え?私は別にーーー」と六花が口を開きかけたが、
カイは有無を言わさず彼女の唇を手で塞いで黙らせた。
がーーー
「俺は心配なんかしてねぇよ」
小助はぎろりと伊咲を睨みつけた。
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