308人が本棚に入れています
本棚に追加
「…ちぇっ。はーい!」
六花は小さく舌打ちをして立ち上がった。
「じゃー先に着物貸すから。
甚八は湯あみ場で合流してね」
「はい」
甚八は短く返すと、颯爽と広間を後にした。
「ほらっ、ついて来て」
「は、はい!」
自分よりも歳下に見える六花だが、
心底面倒臭そうな反応を示され、伊咲は困惑していた。
「あのーーー六花さん…?」
「あなたは六花じゃなくて、望月って呼んで」
「あ、すみません!
皆さん下の名前で呼ばれていたもので…。
望月さんと呼べばいいんですね」
「九勇士は身内だから私のことを六花と呼ぶけど、それ以外には望月と呼ばせているの」
六花は、不機嫌そうにため息をついた。
「本当はカイにだけ、六花と呼ばれたかったけど。
カイが私を六花と呼ぶのを真似して
他の九勇士も馴れ馴れしく呼び始めたのよねぇ…」
「カイ?…えっと、さっきあなたの口元を塞いでいた人ですか?」
「そう、海野六郎。
皆はカイって呼んでるけど」
最初のコメントを投稿しよう!