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「何が?」
「外ではみんな戦っているのに、私はこうしてゆっくり眠って、ご飯を食べてるなんて…」
朝食を摂りながら、伊咲は申し訳なさそうに言った。
「そんなことない。
みんな自分の仕事をこなしているだけだから。
僕は爆弾を作ることが仕事だし、
伊咲は予言することが役目なんでしょう?
休める時に休まなきゃ、戦が長引いた時に乗り切れなくなるよ」
「…そう、ですね」
予言者だなんて嘘を、この屋敷の人たちは信じてくれている。
話した内容に嘘はないけど、私が本当は未来からタイムスリップしてきた
ただの元教師だってことを知られたら
今度こそ不審がられて牢に閉じ込められてしまうんじゃないか…
「伊咲?」
「…あっ。ごめんなさい、考え事してて…」
「そっか。まあ、戦ってなると色々不安もあるよね。
でも安心して。
僕達真田九勇士が、必ず幸村様を勝利に導くから」
「…はい!」
食事を終えた後も、カイと他愛もないような会話を楽しんだ伊咲。
甚八が監視している時のような息苦しさは無く、
唯々一緒にいて楽な関係であることに居心地の良さを感じた。
しかし、しばらく会話を弾ませていた頃ーーー
「カイー!カイー?!
どこにいるの、外に出てないよねー?」
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