真田九勇士

4/34
前へ
/777ページ
次へ
「予言者ぁ?」 男達はぽかんと口を開けた。 「何の予言者だと言うのだ?」 「ええと…これから先起こる出来事を予言する力を持った人間です!」 「お主、今さっきは『ただの観光客』と申していたが?」 「そ、それは世を忍ぶ仮の姿! 私はこの城の方々に未来をお伝えするべく 観光客の振りをしてここまでやって来たんです!」 よし…この作戦で行こう… 日本史の知識ならば自信がある。 これで少し先に起こる未来を言い当てれば、 貴重な存在として殺されはしないはず…! 「予言者ねぇ…。 ーーーでは、俺が今晩家で出される夕食が何か当ててみろ」 「…そ、そういう細かい予言はできません」 「なんだ、やはり口から出任せではないか!」 「おおお待ち下さいっ! ここは上田城で間違いないですよね? 季節は…夏真っ盛り、ですよね?」 「当たり前だ。 ここ上田は山々に囲まれた盆地ゆえ夏は猛暑、冬は積雪となるが 我ら真田は屈強な兵士揃い。 甲冑を身につけて今すぐ戦うこととなったとしても、 暑さなどもろともせず、天候には左右されないのだ!」 誇らしげに男が言う最中、伊咲は頭の中にある年表を掘り起こしていた。 天正13年と言えば、第一次上田合戦の年! 今は夏で、丁度8月くらいの暑さに感じるけれど お城にはまだ敵の徳川軍が攻め入って来た様子はない。 ということは… 「もう少し後に、徳川軍が一斉に攻めて来ます!!」 ーーー伊咲は牢獄に閉じ込められてしまった。
/777ページ

最初のコメントを投稿しよう!

308人が本棚に入れています
本棚に追加