真田九勇士

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「真田…九勇士?」 伊咲が尋ねると、鎌之助は自信満々に答えた。 「そうさ! 真田一族の中でも幸村様直々に仕える、選ばれし九人の勇士を指すんだ」 「…初めて聞きました…」 「はっ?君、予言者なのにこんな有名な話を知らないの?」 ーーーんん? 有名な話…なら私が知らないわけないのに。 それとも史実に残っていないだけで、 本当にそんな人達が存在したのだろうか? いや、待って。 確か「架空」の存在だけど、そういう設定の人達がいた気がする。 でも名前は確か、九勇士ではなくて… 「真田…十勇士?」 「九勇士だってば! 全部で九人なんだからさ!」 「いえ、でも… 私が聞いたことがある架空の…いえ、噂の集団は、十勇士だったかと思うんですが」 伊咲が鎌之助に確かめようとすると、 清海がふと思いついたように口を開いた。 「まあ、確かに、私も九というのは不吉な気がしていたのだ。 十勇士という方が収まりが良い」 「いやいやいや! あとの一人はどこってなるじゃん?!」 鎌之助が突っ込むと、清海は「それもそうだな」と大人しく引き下がった。 「とにかく、俺たち九勇士は特別なの! それぞれが武道や忍術に優れていて… 幸村様とも直接会って話ができる立場にいるんだよ」 「その通り。 我らはお主が今申した予言を幸村様にお伝えしに行く。 この予言が現実のものとなれば、お主の疑いも晴れよう」 「えっ!ーーーじゃあ私がここから出られるのって、早くても戦が明けてから…ということになるんですか?」 伊咲が困ったように尋ねると、清海はふむ、と考えて答えた。 「それもまた、幸村様に相談してみよう。 ところで、お主の名は何と申したかな?」 「み…三吉伊咲です」
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