プロローグ

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プロローグ

 運命なんていうロマンチックなことは信じていなかった。  会いたいと思った人に偶然会ったり、あまりにも境遇が似ていて親近感を覚えたり。そんなことが日常の中で起こったことなんて一度だってない。ロマンチックなことはドラマの中で起こるのであって、平凡な日常で起こることなんてないんだ。  けれど、そんなことが起これば良いと思ったことはある。現実には有り得ないと思っていても、憧れてしまうものだ。理屈じゃなくて本能で感じる運命を、一回くらいは体験してみたかった。一回くらいはね。こういうことを言うと夢見がちなやつだと思われてしまうかもしれない。  夢ならどんなに良かったか。
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