巴里のカメレオン

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 中学生の時はいつも前髪を伸ばしていたの。だって目が()れぼったくて小学校の時同級生の男子から「カメレオン」なんてあだ名を付けられて凄く嫌だったから。  担任からは「前髪切れ」といつも言われていたけどそんなの一切無視。先生には私の辛さなんて分からない。  生まれ持った容姿なんて変えようが無いじゃない。大人だったら整形っていう方法もあるけど中学生の私には為すすべも無かった。隠すしか無いじゃない。だがら私の昔の写真は顔が分からない物ばかりよ。  見る景色も前髪で(さえぎ)られて暗かったわ。  高校に入ってからは開き直ってわざと前髪は短めにしたわ。どうせ私に彼氏なんか出来るわけが無い、それに見掛けで判断する男なんてこちらから願い下げ。そんな勢いで高校生活を送ったわ。もちろん彼氏なんて出来なかったわよ。  私の青春時代? そうね、漫画描いてたわ。家に閉じこもってひたすら描いていたわ。自分じゃ経験出来ない恋愛物や冒険物なんかをね。  まあとにかく暗かったわね。ええ、性格も。  短大に進むと周りはみんなオシャレだった。お化粧したり髪を染めたり。私も周りに合わせて化粧を始めたの。コンプレックスのまぶたには最初青いアイシャドウを塗ったわ。青だったら少しはマシに見えるんじゃないかって。でも逆にまぶたが目立ってしまったわ。じゃあ何色がいいんだろうって、パレットみたいにたくさんの色がセットになったアイシャドウを買って毎日試してた。
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