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白くも燃える花でした。
つんざくほどの静寂が耳に痛い夜のうちに、ふくらみかけた乳白の匂いが鼻を刺して僕は、ふらふらと酔わされるまま木立の中へゆきました。
黒く立ち並ぶ歪んだ木々の群れの下、その影にひっそりとでも目映く光る花がひとつ、凛と立っていたのです。
上向いた白いつぼみは僕の見ている目の前で、たっぷり膨れて重みを増しておずおず垂れ下がりました。花の首が折れてしまうんじゃないかと息を詰めていると、たわんだ茎が揺すられてぱっくり白い花先が割れました。
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