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むっと引き摺る湿潤の匂い。僕はぼんやりとなってしまって、そこから伸びて出た白いかいなに目を向けていました。蜉蝣(かげろう)がさかさまに生まれ出ずるように時間をかけて這い出す白い裸身。
裸の女の子が背中からぬらりと出でて、細く頼りない脚を折り曲げ音もなく地面につけて、それからふるふる首を振り、最後に顔を花から引き抜きました。
白い肢体はどこもかしこも、まっさらで、じゅんと煮含む蜜の匂いがしたように思います。鼻をひくつかせた僕に気がついて、少女はことさらゆるりと、振り返りました。
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