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第1章 私立創立学院高校にようこそ
桜舞い散り若干の冬寒が残っている微妙な空気の中に芽や花の匂いが感じる4月のとある高校の教室。
一人の生徒が椅子に座りピクピクと眼球が動く浅い眠りのレム睡眠状態でとある人物達と出会う。
「漸く見つけた。お前は持ってる奴だな。心配するな俺も持っている。自分を騙す為の嘘なら必要ない何故なら俺からお前の所に俺が行く」
その声は低く太い男性の声だ黒いシルエットから自分と同じ高身長が伺える。
「見つけたよ逢いに行くんだ。僕は君に逢いに行くんだよこれからね。僕も持っているんだそして僕の気持ちも居場所も君の一番近くなのさ。未来で逢おうその場所で」
その声は低いが’あきにしてらかな’女性の声だ何処か懐かしく優しい更に大切な声だと感じる。
シルエットは矢張り女性らしく小柄だが女性にしては大きい方だと感じた。
「お前は俺がいる限りキャプテンにもエースにもなれねんだよ。お前も持っているが俺も持ってるんだよ。」
その声も台詞も良く聞き覚えのある声だ俺の事が世界で一番嫌いな人間らしいが俺は此奴を嫌いになれない端然した理由がある。
「見つけましたっすよ。俺が活躍するのはまだ先の話未来で大きな夢を叶える為にやってきました」
男性の声だが知り合いには居ない様な居る様な。
「私も見つけましたそして貴方と出会うのはずっと先の話この声忘れないで下さいね」
全く検討もつかない女性の声だしかし分からないので考えるのをやめた。
「実は俺も持ってるんすよこれだけ持っている人間がいれば不可能は可能になります」
これは知っている人間の声だそのシルエットは身長190センチは超えている。
そしてレム睡眠は終了した、要は起きたのだ。
刹那の風が外から教室内に吹き込んだ瞬間夢の内容は忘却の彼方へ飛ばされた。
見上げると時計は15時半を過ぎている。
「やっべ部活始まってる」
急いで更衣室で手馴れた動作でアンダーシャツからアンダーストッキングまで着こなす。
スパイクはかかとで踏み小走りで端然履き直す。
野球部専用グラウンドに向かうと。
丹波「遅いぞ!!山井はもう走り終えるからお前は50分でグラウンド内回り50周してこい」
横浦「ピッチングマシンにはお前の様なキレは出せないからな」
どうやら先輩方からバッピ《バッティングピッチャー》のご要望らしい。
そしてグランドを走り出すと後ろから猛追してくる人物がいる。
山井「何だぁ遅刻か?そんなんだから俺にエースにもキャプテンにもなれねーって言われるんだよ」
「お前俺の事嫌いなら話しかけるなよなー!シカトしてくれ!シ.カ.ト!」
山井「馬鹿が!嫌いだから揶揄ってんだよ!じゃーな」
その人物は自分を追い越し猛スピードでグランドを駆け巡る。
そして時間は動き出す、今の自分の立場で青い春と言う言葉が相応しいあの季節へと。
「ジーーーージーーーーー」
「ミーンミンミンミンミー」
油蝉やミンミン蝉が無くも風流とならず彼等には届かない、映える木々の中その新緑に身体が吸収されそうな初夏。
私立創立学院高校の生徒達はエアコンの無い教室で窓を全開にし、ノートやクリアファイルを団扇代わりに扇いでいた。
この物語の主人公は花道海斗、現在神奈川県の私立創立学院高校2年生目標は甲子園に出場する事。
海斗は思考する俺の青春はこれで良いのか友達と遊んだりバイトして欲しい物買ったり彼女作ったりと色々あるではないかと...でも野球が大好きだ。
神奈川県大会予選で私立創立学院その名は3年前に夏の甲子園出場で3回戦で敗退翌年の春の選抜甲子園にも出ているが2回戦で敗退と強豪校だがしかし其処迄止まりでそれ以上に上に行く事はなかった。
奇跡的と言うか現在の監督の影響力もあり甲子園出場経験はあるが甲子園で優勝する事は夢のまた夢だ。
結果甲子園出場経験という実績で優秀な野球部員が集う様になった。
この学校は新設校でまだ7年目だ私立という事もあり部活に力を入れている高校だが’自由な校風’をテーマにしており髪を染めたりだとか長髪だろうが文句は言われない更にそこそこ勉強が出来ないと入れない高校なのでヤンキー的存在は皆無なのだ
本日、花道海斗のクラスの2年2組に2人の転校生がやってくる予定だ。
朝のホームルームにて。
その二人は教壇に立ち挨拶の準備をする。
全人類約72億分の2の2人はやって来た。
海斗は思った、あの男俺と同じ186センチはあるぞ、それに制服の上からでも分かるガタイ半端ねぇ。
ってぇ良く見たら大阪桜蔭高校の2年生からドラフト有力候補の六角じゃねぇーか!通産本塁打60本を越えている1年生からマスク被って試合に出てるってTVで言ってたぞ。
大阪桜蔭で一年生からマスクを被るのは相当なバッティングセンスを買われているとしか思えない。
もう一人の美少女だが身長は170センチはあるかないかと女子にしたら背の高い方だ見た目は童女と童顔で幼く超が付く程の美少女だ。
人間は全人類約72億全員に一人一人に一秒間だけ会おうとしたら寿命を100年としても半数にも満たない人数で寿命を全うしてしまう。
そんな事例がある中今回の出会いは偶然と言うには覚束ない程不自然でそれは必然なのではと思う程衝撃的な出会い。
運命のイタズラかそれとも間違いか。
海斗の運命を大きく変えようとする二人は登場し其処に立っている。
先生「本日は転校生を紹介しよう羽衣海里と六角一条の二名だ」
羽衣海里が先に挨拶する。
「硬式野球部MG志望の羽衣海里です僕は筋肉には自身があります。カイリと呼んで頂いて結構です」
筋肉のという女性らしからぬワードに周囲は失笑する。
そして一人称が僕って言葉に若干引く。
そしてアンドロイドの様に感情の入ってない単調で割りと早めでな台詞で不気味に思う生徒もいた。
どうやら一人称が僕である僕っ子っていうやつらしい、にしても高校生にもなって僕っ子かぁ見た目は美少女ロリな童女って感じ何だが。
身長が186センチの海斗から見れば170センチのカイリ何てちんちくりんなのだ。
裸の王様をご存知だろうか自らの服装に現を抜かす王様に仕立て屋が腹を立て馬鹿にしてやろうと在りせず馬鹿の目には見えない透明な服を素晴らしいと褒め用意し王様は本当は在りもしない透明な服を着てパレードに参加し国民から笑われると言った話だ。
しかしカイリ女王は違う、仕立て屋が嘘を付いている事を知っていた。
カイリ女王はそれを知った上で敢えて透明の服を着て下着姿でパレードに参加する。
え?何で下着姿でパレードに出たかって。
カイリ女王は在りもしない透明な服を着てあるものを民達に見せたかったのである。
それは筋肉である。
プロテイン毎日飲んで鉄アレイ重いけど持って。
筋繊維切って切って切りまくっては肉体改造。
「カイリ女王の上腕二頭筋やっぱスゲー」
「カイリ女王の上腕三頭筋肉半端ねー」
カイリ「女王の腹筋パね《半端ない》ー」
カイリ女王「国民達よ最感想聞かせてよ、感想さあ聞かせてよ凄いって最言ってよ」
そんな物語もカイリの脳内には存在する。
そして六角の自己紹介に入る。
六角「大阪桜蔭高校から来ました六角です硬式野球部に入る予定です」
大阪桜蔭と言えば野球が全国レベルの強豪高校だ、野球を余り知らない人間もその高校名を聞いた事位あるだろう。
担任教師「では羽衣さんは花道君の隣の席です!その後ろに六角君座って下さい」
カイリ「ハイ」
六角「うっす」
カイリ「ねぇねぇ君は花道海斗だよね僕は野球部のMGやりたいから監督に紹介してくれないかい?」
カイリが近寄って来ると何だか良い匂いがする。
海斗「はあっ!?こんな県予選真っ最中の時にか?やる事ねーぞ!それに初対面なのに俺の事呼び捨てかよ!!」
カイリ「こいつは失敬!これは僕の性分さそれに同じ年齢だろう。僕は此処に来る前に東空大相模の野球部のMGリーダーやってたからスコアブックもノックも出来るのさ」
海斗「まじかぁ即戦力だ東空大のバッターの弱点とか教えてくれよ」
そして午後部活にて
監督「大阪桜蔭から正捕手の六角が来た早速海斗とバッテリーを組んで貰う」
監督「そしてMGの羽衣海里だうちのメンバーは79人もいる。まぁせめてベンチ入りメンバーだけでも見てやってくれ」
カイリ「ベンチ入りメンバーのスポドリ《スポーツドリンク》ならもう作ってありますよ」
監督「流石仕事が速いな」
海斗「カイリやるじゃん」
そして六角は正捕手の3年生石川の元に向かう。
六角「石川さん!何か済みませんでした俺の所為で正捕手を奪う様な形になってしまって」
石川「俺は何とも思ってねーぜ俺はキャッチャーからセンターに入ってクローザーやセットアッパー《中継ぎ》で投げるピッチャーでもあるからな。そう言う事ならベンチに下がるセンターの赤坂と捕手の神月に言えよ」
六角は赤坂の元へ行き同じ話をする。
赤坂「全くお前の所為で試合に出られねーじゃねーか!親だって見にくるんだぜ?みっともないプレーしたら容赦しねぇからなそれと今日俺は肘が痛くて医者に行くから今日は帰るって丹波に言っておいてくれ」
六角「本当に申し訳御座いませんお詫びはプレーで返しますんで肘大丈夫ですか?了解っす丹波キャプテンに言っておきます」
赤坂「お前入ったばっか何だろ?海斗や村井とコミュニケーションはよく取る様にしろ!バッテリーを組むんだお互いの性格とか分かってないだろうからな」
そんな事位言われなくても分かっているが急に入部した自分の所為でポジションを奪ってしまうのが申し訳なくて仕方なかった。
六角「神月!挨拶に来た六角だ」
神月「何っすか?正捕手になったから申し訳なく思って謝罪でも?なら気にしないで下さい。俺はまだ一年生何で」
六角は実際このチームで実績は何も上げていない大阪桜蔭でマスク被ってたネームバリューだけで創立のスタメン入りを果たしたのだ。
そして練習に入る。
カイリ「僕はスタンド応援組みとグラセンやるんでベンチ入りメンバーはランニングして下さい」
ランニングが始まる
「1ソーレ2ソーレ3ソーレ4、ソーレイッチニーサンシーイッチニーサンシー」
グラセンとはグラウンド整備だ,ボコボコになったグラウンドをトンボという木材で擦るようにして平らにするのだ。
TVの甲子園の高校野球で試合前とかに土の周りをゴシゴシと良くやってるやつの事だ。
カイリ「じゃあシートノック始めます。ボールは六角君に返球する様にサード三上行くよ」
「カキーン」
物凄い打球がサードを襲う当然サードは捕球出来ず体で止めボールを前に落とす。
カイリ「体で止めるのも良いですけどこの程度の打球グローブで捕球して下さい」
サード三上は海斗や六角同様の2年生だ。
身長183センチで強肩そして創立の不動の5番バッターを打っているが六角の加入で打順も変動する可能性もある、右投げ右打ち。
性格は温厚だがストイックでハングリー精神の塊の様な男だ。
カンナ「次ショート宇佐美」
「カキーン!」
三遊間抜けるかという痛烈な当たりを横っ飛びのダイビングキャッチ宇佐美も強肩で立ち上がる前にボールをライナーでスローする。
カイリ「いいね!」
ショート宇佐美はまだ1年生だ。
身長182センチで強肩そして1年生ながら不動の1番バッターを打っている足の速さはチームナンバー1でその足を生かした守備範囲の広さで創立の3遊間、2遊間にボールが転がったらアウトも同義とされている。
また俊足から盗塁もバントも得意で特に自分も生きるセーフティバントの成功率が高い。性格は明るく何時も爽やかでチームのムードメーカーでもある。
そして高校野球は坊主が基本で皆が自主的に坊主にしてるが実は創立野球部は髪型自由で長髪で茶色に染髪している。
イケメンで女子にモテるが最愛の恋人がいる為他の女子にはなびかない硬派一徹な右投げ左打ち。
カイリ「次セカンド横浦さん」
「カキーン」
センターへ抜けるかと思われた痛烈な打球をダイビングキャッチ直様セカンドベース付近から立ち上がり矢のような返球をする。
カイリ「流石ですね」
セカンド横浦は3年生副キャプテンだ。
身長184センチで高校通産100塁打迄後少しのドラフト有力候補生、普段は温厚でクールだが野球になると1番に声を出し声が出てない後輩がいると叱る事もある。高校野球生徒と言えば体が細いのが定番だが横浦は体が大きく格闘家顔負けの体系をしている、右投げ右打ち。
カイリ「次ファースト丹波さん」
「カキーン」
1塁ベース上をライナーで飛ぶ打球も横っ飛びでダイビングキャッチ、正座の姿勢からライナーでキャッチャーに返球する。
ファースト丹波は3年生でキャプテンだ。
身長は192センチで高校通産100本塁打の大型長距離打者でドラフト有力候補生、走.攻.守の3拍子揃った文句なしの超ハイスペック高校球児で不動の4番、丹波が1年生の頃は上下関係も厳しく苛めも部内にて存在していたが自身がキャプテンになる事で後輩に対する関係をフランクにし私立高校には珍しい自由な部風を作り上げたパイオニア、右投げ右打ち
カイリ「次レフト左近寺さん」
「カキーン」
回転数を合えて多めに増やしたポップフライは捕るのが恐ろしいほど高く上った。
しかし左近寺はボールの落下地点の一歩後ろまでいき落下と同時に一歩前へ出て返球の動作と同時に捕球し返球と理想の外野フライの処理だ。
レフト左近寺は3年生だ。
身長178センチ丹波、横浦、と同様に1年生からレギュラーで、レフトを守る6番打者。野球の時は声を出すが普段は寡黙で余り人と会話した所を誰も目撃しない孤高の1匹狼的な存在。
カイリ「次センター国分寺さん」
「カキーン」
センター国分寺は3年生で丹波と横浦と左近寺と同じく一年生からレギュラーでセンターを守っている。
カイリはノックでフライを上げる際ボールの回転数を自在に操れる1分間に4000回転がベストでホームランになりやすい、マグナス効果という物理現象が発生し物質を上に持ち上げる揚力がかかるからだ。
カイリは今回敢えて回転数を少なめにして浅いフライを捕らせる
国分寺は猛ダッシュで2塁ベース後ろまで走りダイビングキャッチ。
身長186センチの大型選手で強肩で足の速さは宇佐美と競い合う程早い、バッティングセンスが非常に良くバットを短くもって確実にミートし内野安打や短距離安打の製造機。右投右打ち
カイリ「次ライト山井」
「カキーン」
打球は柵越えするんじゃないかの長打を物凄い跳躍力でジャンプキャッチしレーザービームで返球する、投手なだけあって肩も良い。
ライト山井も海斗や六角と同様の2年生だ。
身長183センチで今は守備についているが元々クローザーで海斗の後を抑えるピッチャーだメンバーからは信頼も厚く時期キャプテン候補が海斗か山井かという状態で2人は険悪なムードになっており海斗と仲が悪く周りの人間が気を使っている。ピッチャーとしても優秀で右腕のスリークォーター投球でで2年生で最速145キロ。変化球も多彩で投手としても悪い方のライバル視を海斗とし野球部全体の雰囲気を悪くする原因である。天は二物を与えずバッティングは余り得意ではない。と言うか苦手であるがここぞと言う時には打ってく
れる理由も他選手からの信頼につながる。
カイリ「じゃあ次ピッチャー辻村」
「カキーン」
ピッチャー足元を狙う強襲のライナーを右手にはめたグローブで難なくキャッチ。
ピッチャー辻村は宇佐美同様の1年生だ。
身長194センチと創立の巨人と言われている超大型左腕のオーバースロー最速142キロで変化球は多彩だがコントロールが余り良くないため試合出場経験は少なく主に左投手対策のバッティングピッチャーとして活躍している。左投げ左打ち。
カイリ「次、海斗」
海斗「オッシャ来い!!」
「カキーン」
海斗は打球が余りのも強烈過ぎるのでグローブからボールが弾かれてしまいあわてて拾いに行く。
カイリ「そんな守備でマウンド立てると思っているのかい?」
海斗「この打球はノックの打球じゃない!!本当にピッチャーの俺が150キロで投げてバッターが芯で捉えてピッチャー強襲した本物の打球だこんな事出来る人間が存在するとは...而して今日来たばっかなのに上から目線な女だな」
本物の打球はノックと違って回転数がバラバラであり投げたボールに対して反発力が加わり、痛烈に引っ張った打球などの速度やゴロのボールの伸び方はそれの比ではない。
監督「ノックが実践的になり守備力が向上するな俺を含めてあんなノック出来る人間はいないだろう」
海斗は誰よりも野球を愛する高校球児、身長186センチの大型右腕投手、オーバースローで打順は8番を打っている。感情の浮き沈みが激しくプレーにも影響がするもバッティングセンスは尋常じゃ無い程のセンスだがこの高校は正に黄金時代、丹波、横浦、三上がいる中でクリーンナップは打てない。打線に関しては海斗と仲が悪くてバッティングが苦手な打順9番固定の山井意外全員クリーンナップの様なものである。
頭は坊主だが甘いマスクに長身細身で女子から人気があり何度か告白されているが全て断っている、理由は女子との交際経験がない事がバレると恥ずかしいからだ。
カイリ「ラスト六角君」
「カキーン」
超難易度の高いキャッチャーフライを1回で成功。
海斗「凄い!キャッチャーフライ迄もいとも簡単に監督何て何回やっても失敗するのに」
しかも強烈なバックスピンがかかりホームベースから後ろに逸れていく難しい打球。
六角は容易くキャッチした。
六角は186センチの大型キャッチャーで大阪桜蔭時代1年生から3番を打って来たホームランバッターだがつなぐバッティングも出来る器用なバッターだ。
キャチャーとしては独自の観察と分析力でピッチャーをリードし相手の隙を突き翻弄してアウトにする能力が長けている。肩も強肩で六角の前ではランナーは走らない方が良いだろう。私生活においては謎に包まれている。
ノックはまだ続いていた
カイリ「ラスト6-4-3」
遊撃手が捕り2塁に投げ1塁に投げる連携プレーのシートノックだ。
海斗が投球練習しているとノックの終わったカイリがやって来た。
カイリ「海斗のピッチング見てあげよう六角君ミット貸して。さあ僕の構えた所に投げるんだ」
六角「お前は自分の事’僕’とか言ってるけど女子だろプロテクターも付けないで大怪我するぞ!海斗の球が取れる訳無い」
カイリ「六角君、今の時代、女子とか男子とかに敏感な時代なんだよ不用意な発言は控えよう」
海斗「好き勝手言いやがってお前はこの硬球がヘルメットの上から当たっても死者が出た例を知らないらしい全力でお前を殺す心算で投げるぞ」
カイリ「あっそ、じゃーストレートから」
「ビュン」
「ズドン」
内角低めにボールが入る
カイリ「甘いよボール半個分真ん中に入ってる。次はカーブだよ」
「ビュン」
「ズドン」
カイリ「もう少しスピードを落として回転率を上げないと緩急付けた事にはならない出来れば空振りもとれるカーブに仕上げて欲しい。最後は高速スライダーだよ」
六角「カイリ高速スライダーは無理だ怪我するぞ」
カイリ「平気さ!さあ投げて」
「ビュン」
「バシーン」
それはカイリの構えていた外角低めに見事に決まった仮に打者がいたとしたら自分にぶつかる感覚のボールが外に外れる程変化をしている。
カイリ「2人共良いかい?次の試合は恐らく5回コールドで勝てるんだその次は東空大相模が来る。選手の特徴は把握しているそれを教えるから、それと東空大のクリーンナップに絶対真ん中は駄目だからね!!確実にスタンドに運ばれるのさ」
カイリ「じゃあクイック見せてくれるかい?」
クイックとはランナーがいる場合盗塁を阻止する為極限までに投球モーションを速めた投球方法だ。
割と自信がある海斗がやって見せるも。
カイリ「僕は感情が無いから笑えないけど超ウケルんですけどー何その大袈裟なバックスイングそんなんじゃ簡単に走られちゃうよ!特訓が必要だよ!」
淡々と辛辣な酷評を語られた。
そしてバッティング練習で海斗がバッピ《バッティングピッチャー》を勤める相手はドラフト候補の丹波さん。
創立のバッティング練習では自身の金属バットは使用しない全て竹バットだ。
竹バットはプロが使う木製バットより折れ難い、そして芯で捉えないと振動が激しく手が痺れてしまう為練習には丁度良い道具だ。
バッターは4番ドラフト候補の丹波。
外角に逃げるスライダーをクローズドスタンスで流し打ちライトスタンド柵越え。
そしてバッターは同じくドラフト候補の横浦さん。
こん身の内角低目を肘を折りたたむ様にして竹バットを引っ張りレフトスタンド柵越え。
海斗「やっぱあの二人には敵わねーわけど味方にいて最高に心強い」
そして最後に六角が打席に入り皆が注目する。
六角「真っ直ぐをアバウトに散らして投げて構わない」
海斗は良い所を部員達に見せようと全力投球をするも
「バチン」
「バチン」
竹バットの快音が鳴り響く。
「じゃあ次は変化球行くぞ」
「バチン」
「バチン」
内角はレフト方向外角はライト方向への柵越え、丹波、横浦に引けを取らないバッティングセンス。
海斗「こりゃ来年4番は無理だなそれに此方は全力投球してんだぜ俺が駄目なピッチャーに見えるじゃねーか」
丹波「これは来年も黄金世代と言われるな」
横浦「こりゃ頼もしいぜ」
海斗だけではないその場にいる全員が六角を認めた。
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