第4章 夏の甲子園開幕

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今日は1回戦目創立学院高校対札幌第五高校の試合が行われる。 監督「今日の先発は海斗で行く」 六角「監督!海斗は3回戦からでは?」 監督「試合感覚空けさせる訳にはいなかいし何より今日負けたら終わりだからな」 六角「確かに」 そして... 選手一同整列し 試合開始(プレイボール) 「ウーーーーーーーーー」 けたたましいサイレン音が響き渡るもこのサイレンの音が今日に限って救急車のサイレンの音の様な不吉な音に海斗は聞こえた 札幌第五ベンチにて 古谷監督「いいかぁ普通にやっても勝ち目は無い縮こまってストライクゾーンを狭くしろ」 創立は後攻だ 海斗「帰ってきたぜ甲子園独自のゴム製のピッチャープレートにホームベースホームに向かった緩やかな傾斜がマウンドを低く感じさせて俺には投げやすいぜ」 ピッチャープレートの厚みは160mmと他の球場の倍はある。 「一番ショート小林君」 海斗「何だぁあの構えストライクゾーンが狭くなるじゃねーかぁ」 海斗のコントロールは半端ない、針に糸を通すが如く攻めて行く。 そして3者連続三振 「ストライクバッターアウト、チェンジ」 そして裏の創立の攻撃は一挙5得点を挙げたのである。 そして再び裏の守り 「4番ピッチャー立花君」 海斗は何処も調子が悪くない何時もの海斗だ。 違った事といえば聞き慣れた試合開始のサイレンの音が不快に感じた位だ。 六角は内角高めのストレート要求した。 ストライクゾーンの横は統一されているが高さは選手の身長、更に選手のフォームによっても異なる。 横はベースの上を通過すればストライクでどの選手でも共通だがこの条件且つ 高さは打者の肩の上部から膝頭の下部までをストライクの範囲という。 要はホームベース上の3次元立体空間がストライクゾーンでありボール全体が其処を通過しなくてもボールの一部が通過すればストライクの判定となる。 これを主審が凄まじい速さのボールや変化球を目視で確認するから大変だ。 海斗はサイン通りに投げた、何時も通りに... 「ズキュン」 「ガコッ」 バッターは倒れた。 動かない。 頭部に150キロの死球を受けたのだ。 タンカがやってくるそしてその選手は意識不明のまま運ばれていった。 高校野球は危険球退場は無い。 相手が死んでも罰せられる事などないのだ。 「代走小笠原君」 海斗は帽子をとって相手ベンチに礼をするも... 六角「おい何ぼーっとしてんだ次行くぞ次」 「5番センター山田君」 六角は内角高めのストレートを要求する 海斗は首を振った 六角は外角高めのストレートを要求した。 それに頷き投げる。 「ズギュン」 主審「ストライク」 六角がまた内角高めにサインを出した。 しかし首を振る それでも投げろと要求してくる 「ズギュン」 「ドコッツ」 バッターのヘルメットに当たりヘルメットは飛んで行った。 球場から野次が始まる。 「2者続けて何やってんだー」 「帰れー」 「人殺しーーーっ」 「殺人投手ーーーっ!!!」 六角「タイムお願いします」 六角「どうした最初の死球から可笑(おか)しいぞ」 海斗「内角高めに投げれなくなっちまったよ」 六角「最後のチャンスだ内角低めに投げて来い」 そして海斗は投げるも 「ズキュン」 バッターの後ろを通過する大暴投 ランナー2塁、3塁 六角「海斗!!ライトの山井と交代だ」 そしてこの試合は12対0で勝利はした。 そして試合後 六角「海斗お前にはイップスの可能性がある」 海斗もイップスがどの様な現象か理解はしていた。 スポーツ選手が(かか)る一種の病気だ。 精神的な理由から発病し今迄出来たプレーが出来なくなってしまう症状で症状は重く完治せずスポーツから離れていく選手も少なくない。 今回の場合頭部死球を与えてしまった海斗は頭部に近い内角にボールを投げる事に恐怖し発病してしまったのだ。 そして試合後に札幌第五高校の立花選手が搬送された病院に海斗は向かった。 病院にて 幸いな事に意識は取り戻している様で面会謝絶といった重体ではなかった。 海斗は病室に入り頭が包帯でグルグル巻きの立花に話しかける。 海斗「立花選手申し訳ありませんでした。俺の失投でこんな目に」 立花「頭蓋骨骨折だってさまぁ此方(こっち)も覚悟して打席に立ってるんだ避けられなかった俺も悪いんだよ」 海斗は菓子折りを渡した。 立花「気を使わせちゃったね!それより君の方が心配だよあの後暴投投げたんだってサインは内角だった?」 海斗「ええ、内角でした内角に投げるのが怖くなっちゃって」 立花「俺もピッチャー何だけどねアドバイスを一つしようピッチャーはね打者を意識する必要無いんだ意識するのはキャッチャーミットだけこれからはこれを意識して投げてみなよ」 海斗「分かりました有難う御座います」 立花「花道選手、俺達の代わりに全国制覇してくれよな!」 海斗「任せて下さい」 海斗は病院を立ち去った。 そして数日後 創立学院高校対千葉大付属戦 試合開始(プレイボール) 「ウーーーーーーーー」 けたたましく鳴るサイレン 創立学院高校は後攻 1回の表は山井が好投で3者凡退 海斗はイライラしていた自身に対する不甲斐なさや投球出来ない事など不満を口に出して言ってしまった。 決して言ってはならない事を。 自身も思ってない事を発言してしまったのだ。 海斗「あーもう全国制覇何て出来ねーよ俺が投げれなきゃ決勝は勝てないんだぜもう無理なんだよ」 カイリが速攻で海斗の所へ向かった。 「ビチーーーーーーーーーーーン」 カイリが引っぱたき海斗は吹っ飛び頭を打ち流血する。 以前にもあった事の様な。 カイリ「それ本気で言っているのかい?」 海斗「本気も本気だぞ現実的な事言ってるまでさ!!」 カイリ「君はそれを今迄戦って負けた選手達に言えるのかい?だとしたら君は侮辱で卑劣で卑怯で卑屈で卑猥で下劣で傲慢で怠慢で非人道的な人間だよいや人間じゃない悪魔さ」 海斗「まぁそう思ってくれて構わない」 カイリ「何だって?」 六角「カイリいい加減にしてくれ今の海斗は正面(まとも)じゃないんだそっとしておいてやれ」 監督「カイリ、体罰は禁止だぞ暫く大人しくして貰う」 この試合は山井の好投で8対0で勝利した。 しかし海斗の精神状態は全てがマイナスに向かっていた。 それをベンチに居る全員が気付いている。 その夜、海斗はカイリを呼び出していた。 カイリ「なんだい?」 海斗「カイリ別れよう」 この言葉を聞いた途端カイリの顔は崩れ真っ赤になり目を赤くして泣いた普段表情に起伏のないカイリが顔をくしゃくしゃにして兎に角泣いた。 カイリ「嫌だよう僕が君の気持ちも考えずに言った言葉は誤るよ。許しておくれよう。海斗と離れたくないよう。僕は弱くて人間として欠陥だらけなんだ最初は容姿に惹かれたのか知らないけど寄ってくる男は何人もいた、だけど僕の言動を見て聴いて感じて直ぐに皆離れていくのさ。海斗はこんな僕を認めてくれた唯一無二の存在何だ」 普段感情を(あらわ)にしないカイリに驚き自分の発言で感情を崩壊させた事に申し訳なく重いついに... 海斗もカイリを見て泣き出してしまった。 海斗「泣かせちまって御免な俺の(やぶ)から棒な発言が悪かったし大切な人をこんなに泣かせてしまってやっぱ俺にはお前がいないと駄目だわ」 カイリ「本当!?別れないでくれるの?」 海斗「あぁ..ベンチに居る時から今日の俺はどうかしてたぜ」 海斗「でも暴力はもう勘弁してくれあれ痛いから」 カイリ「なら気が済む迄僕をなぐっておくれ」 海斗「そんなの出来る訳ねーだろ」 カイリ「う..嬉しいよう。でも六角君が君の発言を切っ掛けに君を退部に追い込もうとしている、僕も協力するから」 海斗「カイリ、俺が野球辞めても彼女でいてくれるか?」 カイリ「僕は野球やってる海斗も好きだけど花道海斗という人間を好きになった勿論だよ。だから海斗上手くいかなくて野球を辞めてもいいよ。辞める方向性で考えてみたら?」 海斗「そっかー、いやでも俺は野球辞める気はねーからな」 海斗が部屋に戻ると六角が待っていた。 六角「海斗!明日はお前に投手としての引導を渡す日だ!打者を立たせて内角高めにボールを全力で投げ込んで貰う!出来なかった日にはお前は二度とうち《創立》でマウンドに上る事はない」 海斗「退部じゃねぇのかよ?言っておくが昼間の発言は本心じゃない。体が言う事きかない所為(せい)でどうかしちまってたんだ」 六角「最初は退部も考えた。でもお前が本心であんな事言う男じゃねぇって事位分かってる!俺はキャプテンだぞ!ただ内角高めに放れない投手は創立には必要ない、出来なければライトとしてバッターとして全国制覇の為貢献して貰う」 六角「本当にお前がイップスにかかっていたら回復するのに1年やそこらじゃ済まないだろう永遠に投げれないかもしれない病気何だ俺は正直無理だと思っている」 海斗「無理?それなら今迄俺は無理を通して道理をブチ壊して来たぜじゃあ明日って事で」 そして翌日海斗、六角、カイリ、多くのベンチ入りメンバーが集合していた。 六角「カイリ本当に良いのか?」 カイリ「万が一選手に怪我したら大変だしね、僕しかいないさ!」 六角「そうじゃないヘルメットだよ!」 カイリ「海斗の球を頭にぶつけて死ねるのなら本望さ!」 六角「馬鹿、練習中に死亡事故何て起こしてみろ大問題じゃ済まないぞ」 カイリ「こりゃ失敬、避けるかバットで防ぐとするよ」 そして海斗は六角とキャッチボールをし肩を作っていた。 六角「いいか海斗3球続けて内角高めに150キロのストレートを決めれば合格だ」 海斗「あぁ問題無いぜ」 六角「じゃあ始めるか」 打席にカイリが入る。 海斗「何!?打者はカイリだと!だが問題ねぇ俺の目に映るのは一つ!!カイリの顔でも六角の顔でもねぇ六角のミットだけだ簡単な事だ其処に全力でぶちこめばいい」 一球目 「ズキュン」 「バチーン」 六角「入ってる、しかしカイリ微動だにしないが避ける気はあるのか?」 カイリ「無いねだってその必要はないから」 二球目  「ズキュン」  「バチーン」 150キロは余裕で超えているであろう。 しかし微動だにしないカイリの頭部に直撃したら即死は免れない。 六角「うん入ってる」 三球目  「ズキュン」  「バシーン」 六角「合格だよしかも3球全て俺のミットのポケットの部分に入ってるこんなの一介の高校球児が出来る技じゃない矢張りお前は持ってる」 六角「海斗お前は監督の予定通り明日の3回戦対京都総合高校戦に先発して貰う」
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