第2章 死闘の果てに

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第2章 死闘の果てに

場所は浜横スタジアム。 丹波「良いのかカイリ元仲間の情報を流して?」 横浦「高校野球はフェアプレーの精神だぜ?」 カイリ「元仲間ですけど今でも仲間だと思ってます。なので打者の弱点ではなく特徴だけ六角君には伝えました」 そして試合開始(プレイボール)私立創立学院高校は後攻でマウンドには背番号10をつけた2番手の3年生投手石川が上がる。 決して三振取りに行く投球スタイルではないが打球を詰らせて打たせて捕るピッチングスタイルだ。 淡白(あっさり)三者凡退。 そして裏の攻撃だが相手の投手は右サイドスローで多彩な変化球で翻弄(ほんろう)されあっという間に2アウト。 「3番セカンド横浦君」 そして3番バッターは右打ちドラフト注目の横浦だ 右のサイドスローからスライダーが投げられた。 「ズギュン」 球威の無い投手の変化球は通常のストレートより更に球威がないから投げた瞬間判別できる。 「カキーン」 横浦は外角に逃げるスライダーを左足を前に出しクローズドスタンスで芯で打ちボールはセンターバックスクリーンへ放り込みソロホームラン。 そして4番ドラフト候補NO1既に高校通算本塁打が100本超えている右バッター丹波だ。 「4番ファースト丹波君」 初球からストレート打ちにいった。 「ズギュン」」 球威も無く真ん中に甘く入ってくるストレートだった。 「カキーン」 ボールはレフト一歩も動けず2者連続ホームラン。 此処で早くも東空大相模のエース’野原’の登場となる。 カイリ「次に対戦するであろう浜横高校の為に温存する予定だった野原さんを投入して来た。不味いな今の海斗より能力は上だ流石に丹波さんや横浦さんでも厳しいだろう」 初回に2得点を得るも4回に四球の直後に2ランホームランを打たれ此処で同点となり投手交代エース海斗の登場だ。 スコアは2対2となっている。 元東空大相模野球部MGのカイリのアドバイスでバッテリーは東空大の打者の特徴を六角が分析し投げてはいけないボールを把握しているので失投さえ気をつければ問題ない。 そして東空大の野原から得点は難しく海斗も抑えスコアボードに0が並び始め延長戦に突入延長12回の裏1死から横浦、丹波、六角がシングルヒットで満塁というビッグチャンスを作る。 カイリがここである作戦を監督に進言する。 小倉監督「東空大相模にいたカイリの作戦だ賭けてみる価値はあるし俺も可能性を感じる」 小倉監督はタイムをかけ伝令をバッター石川に送りひそひそ話をする。 石川「何ぃ打球を打ち上げろ!?それも外野犠牲フライでなくても良いだと」 野球で打球を打ち上げる行為は外野犠牲フライを除くと最も愚行がセオリーだ。 理由はフライは取ればアウトだがゴロは捕って更に投げないとアウトにならない二段構えだからだ、だからここぞという時の指導者はゴロを転がせと指示する。 外野に打ち上げれば3塁ランナーのタッチアップで得点し必然的に勝利になるがカイリの作戦では内野フライでも良いらしい。 石川「まぁフライ狙って打ってみるわ内野フライでも良いんだもんな!」 更にカイリは海斗にひそひそ話をする。 海斗は3塁コーチャーを交代した。 そしてピッチャー投げるも1球目ファウル2球目もファウルそして3球目... 「ズギュン」 石川は極端なアッパースイングでフライを打とうとする。 「カキーン」 外野フライでタッチアップか!。 ボールはフェアゾーンに入る内野フライとなった。 石川「あー内野フライになっちまったこれじゃ作戦では良いとか言ってたけど実際駄目だろ」 しかし作戦の前提条件をクリアした。 当然満塁なので内野に打ち上がった瞬間にインフィールドフライとなり審判はアウトの宣告した、これは野手がボールを捕っても捕らなくてもアウトだ。 この場面に限ってのインフィールドフライの説明をするとインフィールドフライとは満塁で且つ2アウト以外即ち無死か1死の場合内野フライを打ち上げられた場合ランナーはフライだから当然各ランナーはベースを踏んでいる。しかしそれをわざと落とすとランナーは各々ベースについている為それから走り出してもホームに投げれば確実にフォースプレーでアウト更にサードに投げればダブルプレーが簡単に出来てしまう。 そうはさせない為インフィールドフライと言うルールを設けこのシチュエーションでフライが上ったら自動的にアウトにしてしまうルールだ。 フォースプレーとは現在の場面で且つ無死の状態で例えると満塁で更にバッターがゴロを打った場合満塁の状態なので一人溢れる事になる、其処でランナーがホームインする前にホームにボールを投げベースを踏んでいる事で3塁ランナーをアウトにする事が出来る。同様に2塁ランナーが3塁につく前にボールを投げベースを踏んでいればフォースアウト更に1塁ランナーが2塁につく前にボールを送球しベースを踏んでいれば滅多に見る事の出来ないトリプルプレーの完成だ。 フォースプレーの極論はベースを踏む事でタッチ不要なアウトだ。 1番分かりやすく多いシチュエーションが無死か1死の条件で1塁にランナーがいる場合で打者がゴロを打った場合2塁にランナーがつく前に2塁に送球すればベースを踏んでアウト更に打者が1塁に着く前にボールを1塁に送球しベースを踏んでいればダブルプレー《ゲッツー》となる。 そして試合に戻り高く上ったフライをショートが捕った。 サードコーチャーの海斗がある相手の行動を確認しサードランナーにタッチアップのサインを出す。 通常内野フライでタッチアップ何て出来ない内野からホーム迄の距離は当然短くホームで余裕のタイミングで刺せるからだ。 そしてある行動とは。 東空大はキャッチャーがタイムをかけマウンドに内野手が集合した。 ランナーはタッチアップでホームインし主審はセーフの判定とゲームセットと声をかけた。 そして試合終了の為創立メンバーは整列をするも東海大は意味が分からないと言った表情でその場を動こうとしない、球場もざわついた状況だ。 何が起こったのか主審がバックネット後ろにある事務所からマイクを借り球場全員に聞こえる説明に入る。 主審「満塁の状態で打ったバッターはインフィールドフライでアウトになりましたがインプレー(プレー継続中)でタッチアップも可能です。東空大からタイムを要求されましたがタッチアップのプレー中なのでタイムの許可を出していません。タイムの許可を出していないプレー中にも関わらず内野に選手が集合したのです。よってインプレー(プレー継続中)にランナーはホームインしましたので逆転サヨナラで創立学院高校の勝ちです」 これが明確な理由だ。 通常準決勝迄来て甲子園を狙う東空大の様な学校は敗北したら悔しさのあまり涙を流すものだが今回はやってらんねーよと言った状態でゲーム終了の礼に向かう。
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