第3章 新生創立学院高校野球部

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そして創立学院高校の快進撃が続いた、                2回戦25-0                            3回戦15-0 4回戦10-0 4試合全て0点で抑えてきている。 海斗がマウンドに立ったのは3回戦から。 決勝は因縁のある浜横高校。 去年負けて泣いたあの夏。 浜横高校には海斗同様大型右腕の白川がいる、去年は高速スライダーが全く打てなかったが創立には海斗という優秀なバッティングピッチャーがいる。 海斗の投げる球を仮想白川として皆で一丸となって練習して来たのだ。 右の高速スライダーに恐れは無い六角が出した回答はあの右打者にぶつかるようなスライダーには手を出さないだった。 あのボールは振らなければボールになる程外角に外れていくそれを去年ブンブン振り回して三振の山を築いてしまったのだ。 海斗は去年2年生の時途中から投げて海斗がサヨナラスクイズまで1点も取られていない。 しかし創立学院には絶対的自信があった。 そして夏の甲子園神奈川大会決勝戦 場所は浜横スタジアム 試合開始(プレイボール) 「一番バッター宇佐美君」 宇佐美が左打席に入り 一球目 「ズギュン」 主審「ボール」 二球目 「ズギュン」 ストライクを取りに来たカーブが低めに落ちる。 主審「ボール」 三球目 「ズギュン」 デッドボールになりそうな内角ストレート 主審「ボール」 そして四球目 「ズギュン」 主審「ボールフォアテイクワンベース」 宇佐美が一塁に出る。 「2番セカンド丸井君」 当然此処は送りバントだろう、丸井はバットを思い切り3度振り打ち気を見せたが打席に入るなりバントの構えをした。 浜横高校内野手も当然前進守備。 一球もストライクを投げてない白川は球威の無い真ん中のストレートを投げる。 丸井はバントの構えからヒッティングに入りランナーはスタートしている。 海斗「バスターかっ!!」 そうバスターのサインを出した監督は知っていた。 元々立ち上がりの悪い相手のエース白川だが原因はそれではない。 一昨日の浜横高校対東空大相模戦で決着は延長13回その内白川は9回を投げ投球数は183球で白川の不調は完全な疲労だ、これはカイリが炎天下の中偵察に行きスコアブックをつけてくれたお陰の情報だ、野球は選手だけじゃないMGも含めて全員で戦っている。 丸井の打ったボールは前進守備の一塁の頭上を超えライトに落ちる。 無死1塁2塁となる 「3番バッター花道君」 海斗は2回素振りをして右打席に入る。 まだ一度もストライクをとれていない相手のエース白川。 海斗はサインを確認し送りバントの構えをする。 浜横高校は流石にバスターの連チャンは無いだろうと内野が再び前進守備に入る。 一球もストライクを取れてない白川は完全に置きにストレートを投げる、バントされても不利にはなるが1アウトは確実に取れるからだ。 しかし海斗はバントからヒッティングに入る、ランナーはスタートしていない、バスターでも送りバントでもない、監督は海斗に打てのサインを出したのだ。 白川の置きに来た球威のないストレートを海斗は見逃さない。 「カキーン!!!」 打った打球は弾丸ライナーで球場の中でも最も高いフェンスの順位にランキングされている浜横スタジアムライトフェンスに突き刺さる。 余りの強烈な打球がライトのフェンスに当たり強く弾き返されその強く弾き返された打球をライトが捕球し逆に不利な打球となった。 海斗はギリギリの二塁打。 (しか)し地方球場ならホームランだっただろう。 ランナー宇佐美と丸井がホームインで2得点の先制二塁打となる。 これが王者浜横高校に火を点けた事に気付かない創立、決して踏んではならない虎の尾を踏んでしまったのだ。 「4番バッター六角君」 六角が打席に入るも... 六角「な..何!?まだ一球もストライクとれてない筈なのに」 そうキャッチャーは立ち上がった、敬遠だ。 浜横高校の監督は一球もストライクがとれていない状態の白川に敬遠の指示を出した、これは選手と監督が絶対的な信頼関係が出来ていないと無理な技。 そして有りと有らゆる状況を想定してプレーしている天才六角キャプテンの裏をかいた。 これが創立に精神的ダメージを与えた。 無死一塁二塁 「5番バッター三上君」 まだ一球もストライクがとれていない白川に対して三上に監督が出したサインは’ボールを見ろ’と当然のサインを出す。 「スギュン」 主審「ストライク」 此処で白川は初めてのストライクを内角高めに決める。 三上「まぁそろそろ決めて来るって感じか想定の範囲内だな」 第二球 「ズギュン」 次のボールも内角高め。 主審「ボール」 三上「単調だな同じコースに2度続けて...」 「バシッ」 三上のバットは空を切る。 監督「ばっ馬鹿な!!」 カンナ「僕前の試合もその前の試合も白川君の投球全て見てました。なのに...なのに...何で!!」 監督「フォークか!!!」 白川は本邦初公開のフォークを投げたのだそれも落差の大きい140キロ台のフォークボール。 監督「甲子園までは解禁にする予定は無かったんだろう。要はうち《創立》との対戦何て眼中になかったんだ最初から甲子園を前提にして彼等は戦って来た」 第三球 「ズギュン」 そして白川の三球目は体にぶつかりそうな内角のスライダーこれは見逃してもボールになる...ハズだった。 「バシッツ!!」 外角低め一杯に決まる。 主審「ストライク!!バッターアウト」 監督「そんな..外角一杯のスライダーでストライクカウントを取りに来てる..甘かった.去年から一年経ってドラフト候補の彼が成長してないハズ何てなかった」 その後3者連続三振になりチェンジとなる。 監督「済まない皆、真逆(まさか)白川投手があんな成長を遂げているとは想定外だった」 六角「何言ってんすか監督!想定外も俺達にとっちゃ想定の範囲内ですよ!それにうち《創立》が勝ってるんだから抑えりゃ勝ちっすよ」 海斗「まぁ見てて下さいよ!六角、俺も内角のスライダーからストライクとりに行くから頼むぞ」 六角「あぁ任せとけ」 「一回表の浜横高校の攻撃は1番ファースト御堂君」 そして1回の裏海斗のジャイロボールに内角から外一杯に外れるスライダーに浜横高校はカットしてファウルにするも前には飛ばず三者三振。 電光掲示板に海斗の最速158キロが表示され球場が(どよめ)く 2対0のスコアが延々と続いて試合終了(ゲームセット)にかるかと思いきや7回に試合が動いた。 浜横高校の打てない球はカットする作戦が此処に来て海斗に効いてきたのだ。 決して体力的な事ではない精神的な事だ。 海斗は内角低めのジャイロボールを失投し真ん中に投げてしまった。 浜横高校3番三浦がライト前ヒットを打つ。 この試合の初ヒットだ。 たった一打で海斗は集中力を切らしてしまった。 次の打者浜横高校4番内山に対してストライクを取りにいくカーブがすっぽ抜け高めに浮いた球をセンターオーバーの2塁打で一失点と無死二塁となる。 集中力を欠いた海斗を襲う観客の声援、球場が一体となって3万人の8割が浜横高校の応援となる。 海斗は空を見上げる。 海斗「今日の空こんなに青かったのかぁ」 空の青は一色ではないコバルトブルー、セルリアンブルー、ターコイズブルーといろんな色が混じっているその複雑さは海斗のこれから起こる出来事を示唆した様だ。 海斗は集中する、集中すればする程浜横高校の応援が耳を離れない。 浜横高校の応援歌は独自で一人一人に曲がない、全ての応援歌を只管(ひたすら)流し続ける打者がアウトになっても流し続けるこれが恐ろしい程相手選手の重圧(プレッシャー)になる。     これには創立のナインからベンチまでも飲み込んでしまった。 次の投球で海斗の大袈裟なバックスイングは腕が(ちぢ)こまりボールがベース前でバウンドする。 あわやワイルドピッチになるのではというボールを六角が体でボールを前に落としランナーを走らせる事は防いだ。 その後六角はタイムを要求し主審がタイムを宣言する。 主審「タイム」 六角「内野全員集合」 内野手がマウンドに集合し六角が気怠(けだる)い表情でこう言った。 六角「なぁ海斗お前何か勘違いしてねーか?まー俺達の周囲に3万人は集まってるだろーがよ俺達はプロじゃねー別にお金貰ってプレーしてる訳じゃない、むしろ学費や部費を払ってプレーしてるんだ!!観客のアンチ創立の声援に媚びて集中力を欠く何て馬鹿げてる!!お前は真夏の油蝉(あぶらぜみ)がジージー五月蝿(うるさ)くて何時ものプレーが出来ないのか?違うだろ!!それと内野手全員に告ぐ!!この回以降は’創立シフトだ’!」 ’創立シフト’とは海斗は良く分からないが六角の一言で目を覚ました事は確かだ。 海斗「六角キャプテンスゲーよお前はこの状況で...ピンチで..負けたら引退って場面で良くそんな台詞言えるよメンタルヤバすぎだろー」 六角「馬鹿かお前!!引退するのは全国制覇の後だそれにその後国体があるから当分引退何て出来ねーからな!!」 そしてマウンドから内野手が散っていく。
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