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それに引き替え、父はスポーツカーを味わう心が全く無いので素晴らしいエンジン音や排気音に対しても、「随分喧しい音だなあ。」と言い、引き締まったフラットな乗り心地に対しても、「ごつごつした乗り心地だなあ。」と言い、気持ちの良い加速に対しても、「慶太がこんなに飛ばすとは思わなかった。おお怖い。」と言う様に滑ったの転んだのと文句ばかり零していたのには閉口した。
けれども御坂峠に入ってからヘアピンカーブがあるつづら折れの峠道をGTVのフロントヘビーの特性に沿ってタックインで以て立て続けにテールスライドさせながら走らせた日にはスキール音と共に父の文句が苛烈さを増して、「ぎょえ~!やめてくれ!慶太!崖から落ちるではないか!」なぞと悲鳴交じりになって面白くなったので溜飲を下げた。
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