天下茶屋

3/10
前へ
/10ページ
次へ
 而してGTVで御坂峠を登って行って御坂トンネルの入り口付近で停車した後、自分からドライブに連れてってくれと頼んだ癖に、「慶太とドライブに行くんじゃなかった・・・」と愚痴を零し膝をがくがくさせる父と共に僕は愉快な気分の儘、GTVを降り、展望が効く所まで行くと、デジカメで富士山をバックに父とGTVの写真を撮った。  父を撮った時、春の青空をバックに父の禿げ頭と白銀の岑嶺が太陽に照らさて光り輝き、その芙蓉峰の異称に相応しい目も綾な山頂から左右に優雅になだらかに伸びる稜線がGTVを撮った時にはGTVのルーフからノーズとテールにかけてスラントしたラインと絶妙なマッチングを示し、その太陽に照らされて光り輝く両者の描いた線が瞼に焼き付く程、一段と際立って綺麗だった。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加