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【YOーICHI 2】
ミコが俺の手をそっと取る。
「わかってるんでしょ?私の気持ち」
「ヨージを裏切るわけにいかんやん」
俺の心臓は爆発寸前だ。
「そんなこと、関係ないやん」
ミコの小さな桜色の唇が近づいてくる。あかん!もう我慢なんかでけへん!ヨージ、すまん!
俺は心の中でヨージに謝りながら、ミコの柔らかい唇に。
「うるさーい!ええかげんにせえー!」
えっ?タマの声?
「ええかげんに、起きなさい!」
えっ?オカン?
そこで目が覚めた。俺はいつもどうり掛け布団を抱き締めて。
「今日は雨やよー!」
階段の下からオカンの声が響く。
夢やん。そして・・・ウソやん・・・なんでー!オチャメな俺。しかも雨て。最低やん。
俺はノロノロと起きてパンツを取りに。オチャメすぎやん。元気すぎるやん。しかもまだキスしてへんかったのに、夢の中で。しかも雨て。休もかなあ、学校。
真面目な俺は休まないのである。
寝坊しても、夢精しても、雨でも。
今日はエレベどうしよ、雨やけど。でもスラップでなんかしょう言うたん俺やから。ヨージはアホやから、絶対今日も持ってきてるよな、エレギ。雨やけど。
いつもより、大分遅なったなあ。
チャリで行こ。いつもみたいにハッサンとこ停めさせてもろたら、間に合うやろ。
雨て。最低やなあ。
夢て。もうちょっと先まで見たかったなあ。
タマて。
オカンて。
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